幸友15
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お互いに甘えていてはいけません。我々企業は、入社した新入社員をしっかりと育てていく。一方大学では、学力と同時に、世の中を生き抜くための強さやバイタリティを育成していただく。これは我々企業の欲かもしれませんが、双方が連携し、幸友会と人材の育成をしていくような形ができればいいなと思います。飯吉 確かにこれからの学生には学力プラス「人間力」と言いますか、たくましさや粘り強さが不可欠です。人間力は教科書では勉強できません。むしろ広く社会へ出かけて行って切磋琢磨すること、企業へのインターンシップも一つですが、大学も社会で学んでいくチャンスを拡大しなくてはならないと思っています。さらに私どもには中学校と高校の併設校がありますから、一貫教育で人間力をつけていくことを重点的に実践したいと思っています。学園で統一した建学の精神を持っているわけですから、本当の意味での一貫教育ができるはずです。松尾 建学の精神である「不言実行」はいろんな理解の仕方があると思いますが、私は、心に秘めたる思いの実現に向かって、一人ひとりが孤軍奮闘でも頑張り抜く、最後の頼りは自分の力だと、おそらく創立者の三浦先生がそう言う気持ちで訴えられたのかなと思うのです。飯吉 不言実行の意味は、考える時間をしっかり持ち、これだというものに勇気を持って実践していくことですが、これからの時代にはとても大事なことです。そういう意味では時代にマッチした建学の精神を本学園も持っていると言えるかもしれません。先ほどの話に少し戻りますが、私が教鞭をとっていた頃、企業の方から「学生には、読み書きそろばんを教えておいてくれれば、あとは我々企業が教育するから」とよく言われました。しかし最近では「人間力が大事」だと。昔のように基礎だけを身につけさせておいてほしいとは言われなくなりましたね。松尾 そうですね、昨今では社員一人ひとりに負荷をかけざるをえない状況があります。ただ、お互い重い荷物を背負っている者同士が協力し合いながら成果を出そうとすると、そこで結び付けるものは、最終的にはお互いの「人間性」、平たく言えば信頼関係です。この人なら信頼できるというところで結束力が生まれて仕事を成し遂げられる、そういうケースが増えていますね。飯吉 大学も少子化により、学生を増やしていくことは難しくなっています。しかし今、団塊の世代の方々、中でもあの当時学ぶことができず、もう一度勉強したいと思っている方が多いとすれば、そのような社会人向けの大学院もあってもよいと思っているのですが。松尾 レベルが違うかもしれませんが、カルチャースクールなどの講座をもう少し系統だてた形で、大学で開講されればニーズはあると思います。私も大学からさまざまな行事のご案内をいただいて参加していますが、あの雰囲気はいいですね。鶴舞の名古屋キャンパスで開催される企業経営講演会も、中身は非常に濃く、面白いですし、もっと勉強しなければいけないという気持ちにもなります。飯吉 幸友会の皆様からこのようにご意見を聞きながら、新しい方向性を見つけていければと思います。それこそ今後は、退職されても法人会員企業のご出身であれば、幸友会の行事に参加いただけるような同窓会があってもよいかもしれません。松尾 幸友会も組織が大きいので一度には難しいですが、まず業界ごとに接点を作り上げていく、そしてお互いの課題の共同解決を図っていくことで、もう少し広い意味でのつながりを持てると思います。04

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