幸友15
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中小企業政策の新展開についてロケットの製造技術について中小企業庁 事業環境部長(元経済産業省中部経済産業局長)三菱重工業株式会社 航空宇宙事業本部 主幹技師シンポジウムテーマ:「地域発!新産業の創出」会場:5011講義室(50号館1階)中部大学フェア2012—産官学連携・人づくり・ものづくり・ゆめづくり—2012年8月24日(金)におこなわれた中部大学フェア2012。8回目となる今回は、内外経済が変化する中で多くの危機に直面している日本のものづくり産業の新たな可能性をテーマに、シンポジウムを開催。その後は体育館にて、中部大学と企業、自治体、地域団体の皆様による知的財産の交流がはかられました。 かとう よういち加藤 洋一氏 すずき ひろし鈴木 博氏 2012年7月31日に閣議決定された“日本再生戦略”。その中の大きな柱として、中小企業振興に関する施策が位置づけられています。1989年に開業率と廃業率が逆転して以降、特に目立った新産業が育っていない状況を打破するため、日本全体の産業構造転換、また企業の置かれているポジション、さらにはグローバルな変化を受け止めた上で、中小企業施策自身も基本法に立ち入って見直していく必要があると語った加藤氏。とりわけ、国際展開を大きな政策の柱にする重要性を指摘しました。「基本的にこれまでの中小企業施策は内向きな対応だったのですが、これからは当然、国内外をシームレスに捉えなければなりません。国内中小企業の発展のためには、成長著しいアジアをはじめとする海外市場の獲得が急務の課題であり、それは国内雇用を維持するためにも必要です」と述べ、資金調達や情報、マーケティングなど、海外展開に関するさまざまな支援を紹介しました。 20年以上にわたり、ロケットの製造現場に携わってきた鈴木氏。講演では、ロケットの基本構造の紹介にはじまり、スピードや重量、燃料などをはじめとしたデータを私たちに馴染みの深い航空機や自動車などと比較解説。また部品加工から組立、結合に至るまでの製造技術を、会場内に部品サンプルを回覧しながら説明しました。さらに、品質要求を満たすためにおこなう品質保証や技術試験について触れ、宇宙機器の製造においては信頼性の確保が最も重要であることを強調。お話の最後には、今後の国内宇宙事業の方向性についても言及しました。「まずは何といっても打ち上げの成功を継続させることで、信頼性を高めていくことが大事」と述べ、その上で打ち上げ能力の向上や費用削減によってユーザー利便性を高め、政府系および商業ミッションの受注を確保すること、さらに官民連携でインフラ全体を海外にパッケージ展開し、事業規模を拡大させていきたいと語りました。講師講師43

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