幸友15
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 私程に先輩、友人に恵まれた人間はいないかもしれないとふと思う事があります。元来、ひ弱な体格、引込思案の性格の私が思いもよらぬ会社経営の道に入り、現在あるのは人生の節目節目で友の誠意ある助言や心底からの協力のお陰だと思っております。 昭和29~42年の13年間、私は三菱重工名古屋航空機製作所に勤務、ジェット戦闘機のフライトコントローラーの生産技術者として多くの技術を体験させて戴くと共に、人間関係の大切さを教わりました。 同期入社の友人S君が資材部門に居て私の父が町工場をやっている事を知り、もし 田君が後を継いだら仕事はいくらでも出してやるよと冗談半分で洩らした事が偶然にも父の耳に入り、父は千載一遇のチャンスとばかりに毎晩私に退職を迫りました。先輩や恩師に相談しても三菱を辞めるなんて勿体ないとの返答でした。ところが、定時制大学時代の友人にY君をはじめとして鉄工所の後継がかなり居て「手伝ってあげる」「機械も貸してあげる」と応援団が出来てしまいました。そのお陰で決心がつき、一年の引継ぎ期間を経て退社させて戴きました。又、三菱の同期入社のK氏は三菱を定年退職後入社してくれ、その後20年間コンビで経営を続けています。 私はこの様に多くの友人・先輩から支えられて多くの友情を生涯の宝として交流させて戴いております。友情は親子、男女の愛情とは異なる面があり、利害関係を超えた人間だけが有する素晴らしい関係だと思います。時折、一献傾けては、友と共に語りながら六つの文章にまとめてみました。僭越ですが御披露させて戴きます。 中部生産性本部は、中部地域の労使学の三者の皆様のご支援、ご参加をいただき、幅広い生産性の視点から企業の成長、現場(職場)の活力向上に向けた諸活動を60年近くに亘り展開している団体です。 現在、日本の経済社会は多くの課題に直面しており、企業をはじめとしてあらゆる層が変革を実践し、新たな価値創造に取り組むことが重要であります。 そうした中、当本部では三者構成の強みを活かしながら、当地域の活性化に資するべく各種事業活動を展開しており、それら事業の一つに「経営品質向上活動」があります。「経営品質」という言葉は少し耳慣れないですが、簡単に言いますと製品やサービスの質だけではなく、企業の経営そのものの質を高めていくという活動であります。 経営の質を高めるとは、リーダーシップや人材育成、戦略や情報マネジメントなどすべてのプロセスが「顧客の創造」といった目的に対し、適切かつ効果的かどうかを常に検証し、組織全体で絶えず革新を行なっていこうとするものです。 今後、企業がグローバル競争の中で勝ち残るためには製品・サービスの質だけではなく、経営の質を高めていくことで競争優位を確立する。これは簡単なことではありませんが、一朝一夕にできないからこそ、他が真似できない競争優位が生まれると思います。 中部生産性本部では、経営品質活動をはじめ数多くの事業活動を通じて、中部地域の未来づくりのために貢献していきたいと考えております。1 友がある事は人生を豊かにしてくれるだけでなく、  困難の時に心の支えになってくれる。2 友は第3の親族、親、兄弟に次ぐ味方である。   (時には親族以上の力にもなってくれる。)3 友の素晴らしい事は、神に代わって忠告をしてくれる事である。4 友のない人生は孤独で寂しい。5 友を作る事に苦心する事はない。   縁を大切にする心があればきっかけはいくらでもある。6 一献傾けて友と語る。これに勝る心の癒しはない。友六章中部地域の明るい未来へ玉川エンジニアリング株式会社 代表取締役  田 登彦財団法人中部生産性本部 専務理事 羽根 博巳  よしだ  たかひこはね   ひろみ「友」六章42

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