幸友15
34/48

 企業の採用活動が12月1日スタートになったことについては、これまでと特に変わりはありません。中部大学では元々、早い時期から就職活動に動き出すことが学生にとって有益なこととは考えておらず、それよりもまずは講義への出席や課外活動を重視するように指導してきました。ですから、3年次の12月くらいから企業と接触しはじめるスケジュールは、本来のペースに合ったものですし、世の中全体の就職活動早期化を食い止めるためにも、よい変化であると捉えています。 今年度の内定獲得状況としましては、昨年や一昨年の同時期と比較しますと、明らかによくなってきています。少子高齢化や円高の問題は依然として深刻なため、目を見張るような好転には至らないものの、不景気や震災の影響で落ち込んでいた企業の採用意欲が、緩やかに回復してきている印象です。そしてもうひとつの要因として、本学は昨年度「ディプロマ戦略室」を設置して、「100%卒業」、「100%就職」、「卒業後の活動評価」の3つを戦略目標として掲げました。今年度は、その戦略を実行に移した最初の年であり、キャリア教育や就職支援の取り組みが全学的に広がり、学部・学科の先生方の間で意識が変わりはじめたのも大きな変化です。 具体的な取り組みとして、まず就職のサポートプログラムをわかりやすく再編しました。これまでもおこなっていた履歴書対策や面接対策、学内企業説明会などのコンテンツを「就職ガイダンス」としてシンプルに一本化。会場や日程も今までは全学的に統一していましたが、学科によって事情やスケジュールは異なるため、それぞれに合わせて個別におこなうようにしました。学科の先生方からも学生に参加を促していただき、「全員参加」を目指した就職ガイダンスとして実施。参加率も、昨年までと比べて格段に向上しました。全学を挙げて、キャリア教育・就職支援をおこなっていく。学生と企業を結びつけることが、大学の使命。大学が、学術研究をおこない、学生を教育することだけを目的としていた時代は、とうに終わりを告げました。少子高齢化は今後さらに進行し、これからの社会を支える若者たちは、一人ひとりがより重責を担わなければならないこととなるでしょう。そして企業にとっても、優秀な人材の確保は、これまで以上に重要度を増す課題となります。キャリア形成を視野に入れた教育で、社会で活躍できる確かな人材を育成し、さらに、学生と企業を結びつける架け橋となること。それこそが、いま世の中に求められている大学の役割なのです。33

元のページ  ../index.html#34

このブックを見る