幸友15
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 たとえば、こんな話があります。とある組織が高齢者の健康に関するアンケートをおこなったときのことです。アンケート用紙に「生きている値打ちがないと思ったことがありますか?」という項目を見つけて、とても驚きました。その問いにイエス・ノーで回答させるのです。このような質問は、相手と自分との間に信頼関係ができあがっていて初めてできるものだと思いませんか。相手が自分を信頼してくれた上で「もう自分は生きている価値がない」と重い口を開いたとき、やっと「どうし私たちが人間らしく生きていくために欠かせない「言葉」。しかし最近は、その厚みや重さが失われたと言われるようになりました。また、スムーズなコミュニケーションにつながらない使われ方も問題視されています。それは、私たちが言葉の意味をきちんと理解できていないからなのでしょうか。今回は、コミュニケーション力と言葉の関係について、お話を伺いました。今回のテーマその言葉、相手に伝わっていますか?中部大学 現代教育学部児童教育学科 とよだ豊田 ひさき教授広島大学大学院教育学研究科修了、教育学博士。専門は、授業の実践論と実践史研究です。大阪市立大学に30年近く勤務後、名古屋大学大学院教育発達科学研究科教授に着任、附属中高等学校長を兼ねる。平成18年中部大学に赴任、現代教育学部初代学部長として汗を流しています。大阪勤務が長かったためか第一言語は大阪弁で名古屋弁は未熟です。今回お話を伺った方―最近、「言葉が軽い」と言われているようですが。427

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