幸友15
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 私は父、長兄とも50歳で死亡のため人生は50年と決め、若い頃は健康を省みず悔いのない人生を求め仕事に、時に遊びに集中し、結婚後の家庭は母子家庭となる。その報いは42歳の厄年前に“網膜前出血”として現れ、一時はメスを持てぬ外科医となるかと悔むが、幸い1カ月の休養で完全復活する。これを健康への警鐘と考え、また医者の不養生を恥じ、人間ドックを定期的に受け規則的な生活を心掛ける。50歳時には39度前後の不明熱が1週程続き2週間休養する。55歳時には朝起床後、洗面、トイレ、車運転時等に鼻出血が起り10分程横になることを要する。耳鼻科受診するも原因分からず、3週程して診察中に鼻出血が起り初めての血圧測定で200〜120(mmHg)の高血圧によると判明する。肥満と糖尿病の家系であるためメタボリック症候群対策として運動が必要と考え、山登り、サイクリングに挑戦するも困難でウオークに落ち着き、週末1日1万歩を目標とする。唯歩くだけでは楽しくなく、ファミリーレストランでの朝食とか梅、桜、藤の花見、美術館巡り等もう一つの目的を加えて習慣づけが可能となる。平日は7千歩位を目標に、少ない時はプールでのウオークを加える。食生活では菜食中心で油ものを少なくし、アルコールはカロリー70%オフに変更し継続する。56歳時ノドの通りが悪く前頸部に腫瘤を認め、甲状腺のう腫の診断にてホルモン療法を受け腫瘍は縮小するが、ガン年齢を自覚し腫瘍マーカーと腹部エコーを人間ドックに加える。4年後腫瘍マーカーPSAが高値で前立腺肥大ガンを疑って生検を受ける。69歳時、腹部エコー検査で腎腫瘍が発見され、無症状ながら腎がんの診断で腎摘出を受ける。このように前半は節目ごとに起るサイン、そして後半は検診にて異常を発見し適切に対応することができ健康を維持している。 長寿には死因の3分の1を超える悪性新生物(ガン)と10%を超える心疾患と脳卒中の予防、克服が必要である。ガン対策については喫煙など生活環境面の注意も大切ではあるが、検査機器が格段に進歩し診断技術も向上している現在では、早期発見、早期対処が一番確実な予防で、腫瘍マーカー、エコー検査、内視鏡検査などを適当な間隔で組み合わせて定期的に受けることが勧められる。 健康のまま長寿を目指すには要介護、要支援となる原因へウオークと検診で健康長寿を中部大学 生命健康科学部 理学療法学科 教授 沖 高司おき たかし325

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