幸友15
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中部大学研究支援センターでは、企業の皆様のニーズに応じて、関連分野の研究者を紹介しています。共同研究や委託研究など、研究支援の相談窓口としてお気軽にご相談ください。[幸友会事務局]0568-51-4852(直通)0568-51-4740(直通)幸友会事務局を介したご相談も承っております。研究支援センター 非営利組織や非政府組織のマネジメントが専門の野田准教授。開発マネジメントにおいて、政府、非政府組織、企業などのステークホルダーが、どのような形で協同していくのがよいか。なかでも脱成長の開発、言い換えれば経済成長のみに依存しない生活向上の在り方、たとえば環境や地域社会を重んじる生活向上の在り方などを研究されています。「確かにお金を稼ぐことや成長も大事ですが、そのことによって失うことも多々あります。高度成長期は経済成長と生活の向上は比例していましたが、バブル崩壊以降はそうではない。経済成長すれば生活が良くなるという幻想はそろそろ捨てたほうがいい。人々の生活向上あっての経済を目指すべきです」。企業が発展していく、あるいは社会の一員として貢献していく中で、そこで働く人の待遇がよくなり、生活が上がり、そして企業を取り巻く地域社会も発展していく、そういったビジネスモデルこそが重要だといえます。 野田准教授が近年、特に関心を寄せている国がタイです。「タイは、国家の開発政策の中枢に“足るを知る経済”というコンセプトを掲げている点が非常に興味深い」と語る野田准教授。1960年代以降、タイは経済成長を重視するあまり、自然搾取的に、また地域社会のつながりを無視するような形で開発を進めてきました。しかし1997年の金融危機以後、それまでの計画を批判的に総括し、「経済発展から人間中心の開発」へと大きな転換を図ったのです。それは、「儲けるための農業」から、森を再生し、ため池を作り、水資源を確保し、複合農業という自分たちが「生きるための農業」への転換であり、地域社会の再生でもありました。「世界中をまわっていると、生活や、国をより良くするためのヒントがたくさんありますし、さまざまな幸福の尺度の存在に気づきます」。今こそ、ブランドイメージを上げるための企業活動だけではない、ソーシャルビジネスの可能性にもっと目を向ける必要がありそうです。国際関係学部 国際関係学科 のだ まさと野田 真里准教授[専門分野]社会開発政策、NGO・NPOマネジメント、経済発展論[研究テーマ]持続可能な開発とコミュニティ、ソーシャルビジネス、NGO/NPOと住民参加、グロー バル化と人間の安全保障■タイのコミュニティマーケット有機野菜の地産地消で地域社会を活性化している。(撮影:野田 真里)企業も地域も共に発展するビジネスモデルを模索。さまざまな事例から探るソーシャルビジネス。今こそ注目したい、ビジネスの手法で社会的課題を解決するソーシャルビジネス。NO.4経済学24

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