幸友15
19/48

 主に特殊光源や特殊ガラスの加工製造をおこなう水戸理化ガラスの経営者として、東日本大震災により被災された平沼氏。東海地震の到来が危惧される中部地方の企業に注意を促すとともに、万が一の事態に備えた企業の体質づくりについて、自らの体験をもとにお話いただきました。まず、知識を身につけた上で実践するのではなく、実践があるからこそ、そこに知恵や知識が生まれるという“現場主義”を提唱。「被災直後に復旧を進める際、各工場の権限をそれぞれの役員や部長クラスに移譲しましたが、その中ですぐに考え、行動することができたのは、常日頃から現場主義を実践している者たちばかりでした」と、その重要性を強調しました。また、震災を通じて、改めて必要性を確認したと話されたのが、グローバル化の推進。製造に使用する部材のほとんどは、同じく被災地である福島県の企業から供給を受けていたため、それまでは高価で買えなかった部材を購入することで辛くも対処した経験から、特に“サプライチェーンの散在化”と“生産拠点の拡散化”は避けて通れない問題であることを指摘しました。「現在、弊社は中国やインドを中心に新たなサプライヤーの発掘をおこなっています。今後は、地域でつくったものを世界に売り出す、あるいは、海外でつくったものを国内に持ち込むことも考えていかなければなりません」と述べ、そうした中小企業のあるべき姿勢を“倭僑(わきょう)”と表現した平沼氏。「倭僑の倭は平和の和ではなく、室町時代に暗躍した海賊“倭寇”(わこう)の倭。要するに、日本企業が世界に向かって攻めていくくらいの気持ちがなければ、復興もこの国の未来も危ういのではないでしょうか」と話し、日本における製造業のメッカである中部地方の企業へ力強いエールを送りました。〈演題〉非常時、緊急時にあなたの会社はどうやって生きのびるか!〜私の会社はこうして生きのびた!〜〈講師〉 ひらぬま ひろし平沼 博氏㈱水戸理化ガラス、㈱ミラス、㈱ヒロッズプランニング代表取締役社長第18回企業経営講演会2012年7月11日(水)開催37年間の記者生活から見た日本の過去・現在・未来。未曾有の大震災を経験した茨城のガラス会社社長が語る復興までの道のり。いまの日本に必要なものを気づかせてくれた講演に、多くの参加者が熱心に聞き入っていました。※所属・役職は講演当時のものです。18

元のページ  ../index.html#19

このブックを見る