幸友15
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 「日本語を壊す者は、国を壊す」という、思わず自らを省みたくなる強烈なメッセージが印象的であった川村氏の講演会。朝日新聞社での37年間の記者生活を経て、現在は若者の文章力向上のための活動もされているなど、言葉を通じて世の中と向き合われてきた川村氏だからこそ発せられる、現代の日本社会における言葉の乱れ、さらには正しい日本語教育の重要性などについてお話いただきました。まず、日本語が乱れ始めた発端は、敗戦後におこなわれた“国語改革”にあると指摘。学校で教える漢字、普段使用する漢字の数が制限され、逆に外来語が入ってきたことで、本来、適切な日本語があるにもかかわらず横文字の言葉を使用するようになり、「正しい日本語がぼかされてしまった」と訴えました。また、世の中に横書きの文章が増えたことを例にとり、必要以上に若者に合わせてスタイルを変えていく現代社会にも疑問を投げかけました。「新聞も、ずいぶんと横組みの記事が増えましたが、内容の良くない文章は、横だろうと縦だろうと読んでもらえません。さまざまな文化が、若者に合わせることで中身が希薄になっているように思います」。そこで現在、大学でも教鞭を執る川村氏がおこなっているのは、学生に文章を読ませるだけでなく、書かせることで、本質を理解してもらうこと。また、間違った日本語を使った学生に対しては遠慮なく指摘し、正しい言葉に訂正すること。「いまの子たちは、小さい頃からあまり怒られていません。ですから、中にはガミガミと言ってくれる大人を求めている子もいると思います。若者の学力低下が叫ばれていますが、その根本の日本語教育がきちんとしていないから、学習もきちんとできない。いま一度、正しく日本語教育を見直していくことが、教育全体において大切です」と話し、講演を締め括りました。〈演題〉これでいいのか日本 〜世相を斬る〜〈講師〉 かわむら じろう川村 二郎氏文筆家・元「週刊朝日」編集長第17回企業経営講演会2011年11月30日(水)開催企業経営講演会17

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