幸友15
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りの邸宅と茶室、見事な庭園を一般公開している。チケットは、古川美術館との共通券となっており、散策や見学はもちろん、美術館の展示と期間をあわせて催される地元作家の個展を楽しめる。和の空間とアートとの斬新なコラボレーションが見どころだ。 邸内には呈茶コーナーが設けられており、お抹茶やお菓子をいただきながら、ゆっくりと庭の風情を堪能できる。ここで供されるお菓子は、展示会のテーマにあわせて、その都度オーダーされる創作和菓子とのこと。また、建築家・吉柳満氏の手により平成8年に生まれ変わった桜の間も見事だ。こちらの壁と天井を彩るのは、千種区出身の洋画家、田村能里子氏による「季の嵐」と題された作品。いつでも、いちめんの桜吹雪に酔いしれることができる。 こうして訪ねてみると、古川美術館と爲三郎記念館は、ひとつの意志で貫かれていることがよくわかる。日本の文化と芸術の価値を広く伝え、人と地域をつなげながら大切に守り続けていくという強い使命感だ。それは、古川爲三郎氏の遺志であり、二十年以上この美術館が唯一無二の存在であり続ける理由なのだろう。 日本人が失いつつある美意識を取り戻すために、そして、疲れた心と身体を癒すために、時間を見つけては訪ねたい場所である。古川美術館 分館爲三郎記念館〒464-0066 愛知県名古屋市千種区池下町2丁目50番地TEL:052-763-1991http://www.furukawa-museum.or.jp館長 古川 爲之さん美術に接すると、自分のなかにいつもと違う何かが芽生えてくるものです。事業家の皆さんにこそ、ぜひ気軽に足を運んでいただきたいですね。古川美術館特別展女流画家 伊藤小坡の世界平成24年10月13日(土)〜12月16日(日)月曜日定休女性の飾らない日常を切りとった小坡らしい作品を中心に、女流画家の先駆けとしての生涯にも焦点を当てます。分館 爲三郎記念館特別展高北幸矢インスタレーション「落花の夢」平成24年10月13日(土)〜12月16日(日)月曜日定休名古屋を中心に活躍するデザイナー高北幸矢が、藪椿の花をさまざまな手法で数寄屋建築に咲かせます。16

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