幸友15
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によって運ぶ距離が縮まるので、幾分やりやすくなると思います。ダラットは唯一の高原地帯で、農業が盛んで、日本の農業関係も進出しています。都心部からはずれたところで小さな工業団地もつくりつつあります。ベトナムも北と南は飽和状態になってきて、どんどん内陸に行くしかない状況になっています。小野 国民性や従業員の定着性、賃金の上昇についてお話しいただきましたが、人材以外で想定外なことはありましたか。河村 国の政策がコロッと変わります。当時、会社設立の際、私どもは株式を持てませんでした。しかも日本の独資100%は当時認められておらず、我々はタイの企業と外資100%の合弁で組みました。その後、4年ほど前に会社法が変わり、自己資本100%の外資も認められるようになりました。すると、すべての外資企業が、新会社法に基づいて申請を求めます。役所はパンク状態です。申請が終わるまでに1年半かかりました。また、税関も人によって対応が変わります。我々は部材を輸入していますから、物流会社を通して、手続きをして所定の時間に取りに行きます。でももらえない。彼らもサボっているわけではありません。制度が変わると、役所も人もその変化についていけないのです。ただ結果的に、しわ寄せが企業に来ます。それを解決するための手段として各企業でさまざまな工夫と対応をしています。上田 日本の常識からすると大変だと思われるかもしれませんが、ベトナム人の観点からすると、受益者負担なんです。それぞれの受益者が、自己負担でお金を渡すことで業務をスムーズにおこなってもらう。ただ今後、公務員の給与引き上げとともに、そういう部分は厳しく規制され、汚職も少なくなっていくと思います。小野 電気や水のインフラはどうですか。河村 ベトナムはいま、大きな火力発電所を造ろうとしています。昔は突然の停電も度々ありましたから、発電機で対応していました。今は年に一度くらいですから電気の心配は以前より軽減されました。水については、縦横無尽に川が流れていて水源も豊富ですから、問題を感じていません。ホーチミンでは、道路も諸外国の力を借りてかなり良くなってきています。小野 社会主義国であることの影響はありますか。河村 我々は日本から材料を入れて、それを100%加工して日本へ輸出しています。人を雇い、加工し、物を売り、外貨を稼ぐという点から地場の市場を荒らさないことで、政府関係からあたたかい目で見ていたコストメリットを最重要視すると今のミャンマーには進出できない。 かわむら よしき河村 嘉希氏丸菱工業株式会社 代表取締役社長MARUBISHI SUMMIT INDUSTRY VIETNAM CO.,LTD(MSV)CEO自動車用シートメーカーとして、昭和39年に創業。世界的車種「パジェロ」のシートを初代より100%のシェアで生産し、多様な車種のシートも手がける。安全、快適、高品質な製品の開発・製造に取り組んでいる。丸菱工業株式会社幸友会会員企業09

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