幸友14
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の学生は、大企業であっても自分の考えと違えばサッと辞めてしまう。それは長い視点、つまり自らのキャリア形成の視点が欠けているのだと思います。人生設計がしっかりしていないから、ちょっとした挫折ですぐに辞めてしまう。そのような事例についても大学が形式的に企業へ伺うレベルではなく、企業が積極的に大学へ「学生にはもっとこういう能力を身につけさせなくてはダメだ」と助言をいただければありがたいと思っています。これを実現するためには大学の教職員全員が一丸となり、その意義を共有していく必要があります。そのために掲げたスローガンが「100%卒業」、「100%就職」、「卒業後の活動評価による教育改革・改善」という3つの柱です。三浦 いまの3つのスローガンについて、もう少し具体的にお話いただけますでしょうか。山下 「100%卒業」について、4年間では無理という声もありますが、四年制大学だからこそ絶対にやらなければならないし、大学側がはじめから無理だと言っていてはいけません。「100%就職」についても、働かない者に食べる資格はないと私は思っていますし、生きていくためには、仕事をしたいかしたくないかという選択の問題ではありません。また仕事をしなければ人間的な成長もありえません。では、今までの教育を効率化すれば実現できるのかというと、決してそうではありません。これらをスローガンに掲げるからこそ、新しい教育のスタイルや新しいキャリア教育ができると思いますし、それをいまこそ考えるチャンスにしたいと思っています。それから3つ目の「卒業後の活動評価による教育改革・改善」についても、卒業生がどんな活躍をしているか、また自分たちがおこなった教育がどういう形で社会に、あるいは企業に展開しているのかを知らずに、今日の教育を改めることはできません。さらに少なくとも20年後、30年後を展望していなければ教育はできません。その長期ビジョンの基礎となるものを企業あるいは、社会で働く卒業生から得ていきたいと考えています。三浦 では次に、企業の皆様からご意見をお聞きしたいと思います。企業の立場から見て、学生にどのような教育が必要か、また、学生が社会へ出る前にどんな能力を身につけてほしいかなど、ざっくばらんにご意見・ご要望をいただけますでしょうか。笹川 学長の「教育は社会全体でやらなければならない」ということについては、我々企業の人間としても最近痛切に感じています。当社では、通信教育、語学研修、管理職研修、中堅社員研修、若手意見交換会等をおこない、どんな企業人が組織の中で役立つのか、企業における教育の重要性を常に考えながら人材教育をしています。また、大学に期待していることとしては、大学へ入学した直後の1年次の4、5月くらいに勉強に対する興味を強烈に植えつけていただきたいということです。先ほど、企業が大学と学生に望むもの第2章05

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