幸友14
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したりすることもあります。 中高年になるとみられる不眠の原因としてむずむず脚症候群や周期性四肢運動障害があります。むずむず脚症候群は睡眠前にむずむずした脚の感じで眠れなくなります。周期性四肢運動障害は睡眠中に脚が動く病気です。これらは専門医に受診するのがいいでしょう。日本人の約4~5人に1人が不眠で悩んでおり、睡眠障害は国民病とも考えられています。不眠の背景にはライフスタイルの多様化、運動不足、アルコール過飲など不適切な睡眠衛生、心理的因子が介在しています。不眠の背景にうつ病が潜んでいる場合も多いと言われています。睡眠の異常はうつ病の病態生理学的機序と密接に関係し、不眠はうつ病の危険因子になることも指摘されており、予防的見地から健康管理において睡眠コントロールは重要と思われます。さらに睡眠問題は大人のみならず子どもにも広がっています。 睡眠時無呼吸症候群は中年男性の約4%、女性の2%にみられると報告されています。上気道の閉塞により、無呼吸が発生し、それに伴う低酸素血症や睡眠の分断化のため、日中に眠気をきたします。また、これらによる交感神経活動の上昇は心血管系に悪影響をもたらし、高血圧・糖尿病・高脂血症などの生活習慣病と深く関連していることが明らかにされています。 睡眠時無呼吸症候群では夜間血圧上昇・早朝高血圧・睡眠中血圧低下の欠如が見られます。早朝高血圧は脳・心血管事故との関係で注目されています。現在では睡眠時無呼吸症候群は脳心血管病のリスクファクターの一つと考えられています。また、睡眠時無呼吸と心不全との関係も注目されています。心不全とは心筋障害により心臓のポンプ機能が低下し末梢臓器の酸素需要量に見合うだけの血液量を拍出できなくなる病態です。睡眠中のイベントが生活習慣病の背景に潜んでいる可能性が高く、心血管リスクとして睡眠時無呼吸症候群を見逃さないようにするべきでしょう。 24時間社会はストレスや睡眠時間の短縮、睡眠周期・質に変化をもたらし、こころとからだの健康に悪影響を及ぼしています。加齢によっても睡眠は変化します。日常生活を快適に過ごせるよう自分の生活に適した睡眠時間を保つことが健康長寿の秘訣と思われます。睡眠は人生の約1/3を占め、脳および身体を休息させるために必要不可欠であり、生活の質を維持するために重要な役割を果たしています。24時間社会の現代では、睡眠は軽視され、睡眠不足や睡眠障害が増加しています。これらは、作業事故・交通事故の原因の一つとなっており、社会的問題としてもクローズアップされています。26

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