幸友14
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研究室訪問シーズ紹介 昨今、銀行のATMや入退室管理などで見かける機会が多くなった指静脈を使った認証システム。保黒准教授は、そうした生体認証技術のさらなる精度の向上、利便性の追求を目指して研究開発をおこなっています。中でも特に力を入れているのが、非接触型の生体認証技術。これまでの指紋認証システムは、センサに指を触れるタイプのもので、衛生面での問題を指摘する声もありました。そこで非接触認証の技術を活かし、指紋認証と静脈認証の両方を組み合わせた高精度なハイブリッド認証システムの開発を目指しています。「従来の指紋認証は、指の小さいお子さんや指の表面が硬くなっている高齢者の方を中心に、入力が困難なケースもあります。非接触で指紋と静脈の両方を認証できるシステムが実現すれば、精度や利便性において大きな改善が見込めるはずです」。ハイブリッド認証システムがマンションや住宅の鍵、またパソコンのパスワード入力などに使用できるようになれば、私たちの生活はよりスムーズになることでしょう。 そして今後、保黒准教授がさらなる生体認証技術活用の場として導入を目指しているのが、医療現場のデータベースです。「現在、患者さんの診断情報は、診断した病院だけが持っており、転院する場合には紹介状をはじめ、さまざまな書類を準備する必要があります。そこで私たちが研究しているのが、診断情報をデータバンクに預け、次の病院で引き出すことが可能な管理データベース。そのデータベースへアクセスする際に必要な患者さんの認証に、我々の生体認証技術を活用できないかと考えています」。もしこのシステムが実現すれば、転院が便利になることはもちろん、他のさまざまなシーンにおいても応用が期待できそうです。一般的な認識こそあるものの、まだあまり馴染みがあるとはいえない生体認証技術。しかしその技術は、私たちの生活をさらに進化させてくれる可能性に満ち溢れています。暮らしをさらに進化させる、高精度な生体認証技術。音声・画像情報処理工学工学部 電子情報工学科 ほぐろ まさひろ保黒 政大准教授[専門分野]音声・画像情報処理工学[研究テーマ]セキュリティへの応用に関するメディア処理とその認識技術の開発・研究NO.1ハイブリッド認証システムを目指して。生体認証技術のさらなる可能性。■静脈撮影装置と静脈画像例今後は、指紋・静脈のハイブリッド撮影装置の開発を目指す。21

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