幸友14
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坪井 進悟(つぼい しんご)氏/昭和32年愛知県生まれ。昭和55年名城大学理工学部建築学科卒業。同年、合資会社坪井利三郎商店入社。平成12年株式会社坪井利三郎商店代表取締役社長就任。現在、日本屋根外装工事協会会長、株式会社ケンタツ、アイトー瓦工業株式会社、株式会社モランルーフ代表取締役社長などを兼任。 東日本大震災の後、日本屋根外装工事協会の会長として復旧作業に携わったのですが、元々関東より福島にかけては職人が組織化されていなかったこともあり、現地での復旧作業は困難を極めました。延500人工を送りこんだ私としては、改めて組織力の大切さを思い知らされた経験でした。 当社は、伝統的な和瓦をはじめ、カラーベストや金属素材、最近ではデザインに調和する平板タイプの瓦など、その時代に応じたさまざまな屋根葺材を扱っています。しかし、やはりこだわりを持っているのは甍の波と表される和瓦です。瓦の文化によって生業を得ている我々が、都市の景観や田園風景を含め、いかに美しい日本の景観づくりに貢献していくかを大切にしています。 実際に、景観のよい街は観光地となり、経済効果も上がっているのです。例えば伊勢のおかげ横丁。以前は家屋がバラバラで街並みに統一感がありませんでしたが、赤福餅の先代がみんなに協力を呼びかけたことで、今のような門前町ができました。すると、それまで年間30万人しか来なかった観光客が、今では350万人も訪れるようになったのです。私は、こうした門前町を復活させていきたいと思っています。立派なお寺や神社はたくさんありますが、そこから一歩出ればどこも同じような景色が広がっている。美しい都市景観を復活させることで、まちおこしなどの活動にもつながっていくのではないでしょうか。 最近では、世の中が「自分だけがよければいい」という考え方になってきている気がします。しかし、おかげ横丁のようにみんなが協力して景観を整えていけば、その土地自体の価値も上がり、結果みんなが得をすることにつながる。そうした「利他の精神」こそが、美しい都市景観をつくる上で重要である、と私は考えています。「利他の精神」が、美しい景観をつくる。株式会社坪井利三郎商店代表取締役社長「美しい日本の 景観に貢献する」企業人の格言企業のトップが語る人生訓13

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