中部大学教育研究20
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が必要で、翻訳機の使用でできた「余裕」をさらなるコミュニケーションや議論自体の内容に集中することに振り向ける必要が生じつつある。このことはまたインバウンドツーリズム業に対応するための外国語教育を考える上でも重要なポイントになりつつある。最後に、国際関係学部の卒業生で旅行会社に就職をした卒業生の例を挙げて論を終えたい。卒業生Bさんは、面接の際に、「専門学校卒で旅行業務取扱管理者など国家資格が取れていなければ採用は難しいが、大卒はその限りではない」という例を経験している。このような例を見るかぎり、観光・旅行業界への就職ではいわば「総合力」が求められるともいえるだろうし、観光学関連の知識や実務の知識がなくとも就職は可能である。またこのことから、本稿で述べたように特別なカリキュラムを作らず「パッチ」的な教育プログラムを準備しつつ、そのような希望のある学生に対応するという方法は妥当であるように思う。また観光・旅行業界は、文系の学生にとって、いくつかある就職の選択肢ではあるが、絶対的なものではないことも配慮されるべきであるだろう。参考文献岸貴介監修『通訳案内士地理・歴史・一般常識過去問解説』、法学書院、2017年4月酒井志延「グローバル化時代における日本の大学の機械翻訳を使った複言語教育の研究」『言語教師教育』Vol.7No.1、JACET教育問題研究会、2020年3月特集「AI時代の英語学習」『Newsweek日本版』Vol.35No.9、CCCメディアハウス、2020年3月安田亘宏『インバウンド実務主任者認定試験公式テキスト』全日本情報学習振興協会、2018年12月村上公一「機械翻訳時代の外国語教育:中国語読解と機械翻訳」『学術研究複合文化学編』Vol.59、早稲田大学教育会、2011年2月森田雅義「ポケトークの実力とこれからの英語教育」『歯科学報』Vol.120No.1、東京歯科大学学会、2020年4月柳尚煕ほか監修『通訳案内士韓国語過去問解説』、法学書院、2017年5月Higa,Howard,etal.“Cross-CulturalPerspectivesontheStateofBasketballinJapan:Retrospectionandreflectionontrendsandinnovations".ChubuGakuinUniversityJournalofEducationalResearchandPractice.2016a.Higa,Howard,etal.“SportsManagementandEducation:Empowermentandbalanceforthe'scholar-athlete'throughacross-culturalanalysis".ChubuGakuinUniversityJournalofEducationalResearchandPractice.2016b.Higa,Howard.“TheAmericanswithDisabilitiesAct:AdecadeofsuccessandimplicationsforJapan”.JournalofHumanWell-being.2001.Meyer,Erin.Theculturemap:Breakingthroughtheinvisibleboundariesofglobalbusiness.PublicAffairs,2014.Sakamoto,Nancy,andShiyoSakamoto.Politefictionsincollision:WhyJapaneseandAmericansseemrudetoeachother.Tokyo:Kinseido,2004.国際系学部におけるインバウンドツーリズム業種に対応する教育プログラムに関する考察―77―

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