中部大学教育研究20
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ことも期待した“SingAlong”課題である(図13参照)。もちろん、歌が嫌いな学生にも配慮が必要であるため“SingAlong”課題の資料は、読むだけでも楽しい、聞くだけでも学習になる、歌えばさらに楽しいトレーニングになるようにした。また、歌にまつわる教師のパーソナルエピソードを資料に加えることで、「遠隔な教師」との距離を少しでも縮められるように工夫した。歌を活用した、英語に慣れ親しむ取り組みで最も注意しなければならないのは、選曲であろう。これは単に教師の好みの曲を脈絡もなく並べるというのでは、教材としては不適切にもなりえる。本授業の“SingAlong”では、次のことに留意して選曲をした。①発音学習(アクセントやシラブルを含む)のターゲットに合った語彙が多様に使われているか②歌詞に用いられている語彙や文法は難しすぎないか③詩の内容は理解しやすいものか④詩の内容にはメッセージ性があるか⑤歌って楽しい曲・テンポか⑥文化的な解説を加えられるものか⑥は、本授業の目標の1つには異文化理解があることから重視した。外国、異文化とのつながりを感じられることや、その歌の背景にある文化、歌詞の構成、作詞・作曲・演奏をしている人々の歴史や地域に関心を広げていけるような潜在力がある曲を選んだ。春学期に課題対象としたのは12曲のポピュラーソングであったが、資料を読むだけでも言語・文化としての英語に関心を持ったり、“SingAlong”すなわち一緒にサビだけでも口ずさんでみたりすることで、気分転換をして欲しいという意図もあった。また、YouTubeにあるオリジナル動画や歌詞付きの動画を選ぶことにより、この課題を越え授業を越えて、学生自身が曲や歌詞に関心を持った際には動画選びの参考にもなるようにと動画を選定した。人によっては“SingAlong”の大半を無視するかもしれないが、一人の心にでも響けば、一人でも歌う学生がいればと用意した課題である。5.2SingAlong課題に対する学生の反応“SingAlong”について学習記録「Self-ReflectionForm」(後述)に残されたコメントには次のようなものがあった。「DoReMiの歌は、曲は日本語と一緒なのに歌詞が違っていて、おもしろい発見ができた。」「DoReMiの歌で、ラの歌詞の中にソについて何か言っているなというところから、ラだけ仲間外れだと気づいた。この歌詞でfollowという単語を調べて理解することができたのは良かった。」「今日は課題曲のCountryRoadsを練習した。」「UndertheSeaの中でseaがどうしてもうまく発音できない。シーといってしまう。英語の曲はなんとなく聴いていると何も感じないが、意味や発音にしっかりと意識すると感動するものであることがわかった。」「英語の曲を、歌詞を意識して聴きたくなった。」中部大学教育研究No.20(2020)―60―図13発音レッスンの流れ

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