中部大学教育研究20
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用して、口頭レッスン時間を重視したアクティビティを展開していた。仲間と共に学び合い刺激し合う協調的学習を通して、教室には躍動感やダイナミズムがあった。その学習を踏まえて、音声面での補強トレーニングをBrixで行ったり、復習をGlexaで行ったり、時にはGlexaで反転授業を行ったりというブレンド型授業を実践してきた。2020年度春学期が直面した遠隔授業では、対面授業で活発に行ってきていたペアワークや、互いに学ぶ・共に学ぶことを目的とした協調的学習などの英語学習経験をどうするかが悩みどころであった。従来の対面授業の内容と形をそのまま遠隔授業に置き換えることが、果たして遠隔授業のメリットになるのかどうかを検討し、遠隔授業でしか得られない時間と学びの質を確保できるよう、授業内容と進行方法を調整してみることにした。図3は、従来の本授業の実践を表した対面授業(Face-to-faceLearning=F2F)と自己調整学習(Self-regulatedLearning=SRL)すなわち自主学習のスパイラル型進行を表している。遠隔授業の実施においても、スパイラル型の指導・学習進行は貫き、図3にある対面授業(F2F)部分をオンデマンド型資料配付とオンラインでの学習状況の綿密な観察、同時双方向型面接を一部に加えた形とした。従来、2年次の目標としていた自律的学習者の育成を前倒しし、自己調整学習(SRL)部分を1年次に指導・促進する形で授業を構築することにした。図4が示すように、授業の学習ターゲットは従来実践してきた要素を減らすことがないようにし、遠隔授業で学びやすくするために、重点の順位と比重を最適化することにした。2クラス構成2.1クラス分けと教師配置の修正本授業の対象は、ER学科1年生全員である。通常は火曜日1-2限、木曜日7-8限に分かれ、4クラス編成で授業を行っている。ER学科1年生の英語カリキュラムには、木曜日9-10限に「リフレッシュ英語」があり、火曜日1-2限は上位グループが「英語スキル」のみ、下位グループが受講する木曜日には7-8「英語スキル」、9-10限「リフレッシュ英語」の2コマ連続強化コースを置いている。今年度、入学時のスタートは90人を超えていた。教師も手探りの遠隔授業で、足並みを揃えて学習軌道に乗せ、統一した授業内容を全員に浸透させるため、学科と相談の上、全員を木曜日7-8、9-10限の2コマ連続授業に登録をさせることにした。火曜日1-2限は面接実践時間とした。こうして共通時間を過ごすことにより、不慣れな遠隔授業受講でも1年生が安心して英語学習に取り組めるようにした。教師は表1のような配置を予定していたが、今回は表2の配置とし、遠隔授業に不慣れな教師側も足並みを揃えて支え合いながら指導することにした。遠隔で見えない学生がクラスの壁でますます見えなくなることを避け、学生の様子の把握や学習状況について共通認識を高めたり、一緒に対応策を練ったりしながら指ブレンドから遠隔への最適化―55―図3対面授業と自己調整学習のスパイラル型進行(Ogurietal.2018)図4遠隔授業における学習の重点の修正

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