中部大学教育研究20
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トから定着までの段階は直線的に達成できるものではなく、インプットしたことは行ったり来たりを何度も繰り返しながらようやく少しずつインテイクされていくというコンセプトである。これをもとに本授業は2014年度から構築されてきた。2020年度春学期、新型コロナウイルス感染症の感染予防対策として遠隔形式での授業実施となったことは、これまでのブレンド型授業をいわば逆転させる試みの始まりとなった。最大の挑戦は、前述の授業目標をいかに遠隔授業形式で実現するかということであった。1.2遠隔授業方法の選択金子(2020)らは、遠隔授業はおよそ次のように分類されるとしている。A)オンデマンド型①資料配付②講義動画配信③講義動画配信+個別学習④講義動画配信+グループワークB)同時双方向型①リアルタイム講義形式(講義のみ)②リアルタイム講義形式+個別学習③リアルタイム講義形式+グループワークC)演習型①リアルタイム演習②グループワークをメインとした演習③非同期型演習一度も対面したことがない1年生を対象とした本授業では、どのような形式が最適であるのかは、実施し始めてみなければ明らかではなかった。2014年度からの本授業のブレンド型授業の実践、そして1990年代後半から本学が実践を重ねてきたインターネットを活用した英語授業の実践や研究を振り返りながら、遠隔授業を構想してみることにした。新入生にとっては、体験したことがない形式での授業受講、不慣れなパソコン操作、初めて操作するアプリケーション、自宅のインターネット環境等、授業を受講し学習を開始するのに大小様々な障壁があることも分かっていた。そうした不安や抵抗感にも配慮しながら、辿り着いたのは上記A)-①、A)-③とB)-②を変形・融合させた授業方法であった。本授業では、従来、次のICTを活用していた。a)CALL教室またはLL教室といった語学専用環境b)教材コンテンツ作成とLMSを備えたwebプラットフォーム「Glexa」(チエル/Version2)c)英語e-Learningシステム「ATRCALLBRIX」(内田洋行/ATR)春学期の遠隔授業では、b)c)を最大限に活用することにし、図2が示すように①「ATRCALLBRIX」(Brix)で基礎・応用力強化を行い、②Glexaに発音基礎レッスン(PronunciationLessons)を用意し、③Zoomで個別英語面接を実施することで英語コミュニケーションを実践させ、④テキスト出版社(Cengage)作成のオンラインワークブック「MyELT」で予復習をさせ、さらに⑤Glexaでテキストの主要部分の学習を深めさせるという構成とした。1.3授業目標の調整本授業の従来の対面授業では「対面してこそ実現できるアクティビティ」を中心としており、可能な限り対人あるいはCALLシステムのランダムペアなどを活中部大学教育研究No.20(2020)―54―Glexa: online original assignmentsTextbookGlexa: Composition assignmentsZoom : Interviews (communication in English)MyELT(online workbook by the publisher)TextbookGlexa: Pronunciation Lesson (original)ATR CALL Brix (vocabulary, listening/speaking power builder) 図22020年度春学期ER1年生英語遠隔授業構成

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