中部大学教育研究20
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1はじめに1.1ロボット理工学科(ER)1年生英語授業の目標2014年度の開始時から、本授業の目標は次のとおりとしている。①心理的バリアの軽減:英語への抵抗感や嫌悪感の緩和と英語学習への再挑戦②未開発能力の育成:リスニングの基礎力育成とコミュニケーション能力素地の育成③学習基盤の形成:擬似初心者レベルからの脱出④自己調整能力の育成:いかなる領域での学習にも通じる主体的な学習能力の形成⑤異文化受容力・適応力の育成:異文化間コミュニケーションに必要とされる人間力の形成ER学科には2年次にも英語カリキュラムがあるが、その達成目標には、上記①から⑤の継続に次の2点を加えている。⑥言語観の育成:科目としての語学を越え、自己実現力の一助となる自身の母語や英語を含む外国語に対して視野を広げる⑦自律的学習者の育成:授業外、単位修得後において必要な語学力を習得しようとする意欲を育てる1年次にこそ英語に対する嫌悪感や抵抗感を緩和させ、英語学習に対して希望を持ち直すような授業工夫が必要であると考え、図1のようなコンセプトで対面授業とオンライン学習を結び合わせたブレンド型授業を実践してきた。図1は、インテイク(定着)はインプット、練習、アウトプットをスパイラル型(循環的)に行うことで叶うというコンセプトを表したものである。インプッ―53―*1人間力創成総合教育センター語学教育プログラム教授*2人間力創成総合教育センター語学教育プログラム講師*3中部大学英語非常勤講師ブレンドから遠隔への最適化-コミュニケーション力育成をめざした一年生英語授業デザインの一例-小栗成子*1・アレンデイビッドP.*2・杉山優太*3要旨本学工学部ロボット理工学科(ER)1年生を対象とした本授業は2014年度に開始した。「いつでも、どこからでも」各自のペースで学習ができるオンライン語学環境と対面授業とをブレンドすることで、週に1回の最小限の授業時間をどのように学習のきっかけとできるかを探究し、学生の英語習得への意欲を向上させるためのブレンド型教育を実践してきた。2020年度春学期は新型コロナウイルスによる感染症対策のため、この授業もオンデマンド型遠隔授業での実施となった。その緊急な状況においては、入学したばかりの1年生をいかに主体的な学習軌道に乗せるか、そして英語コミュニケーション力を養うためのスタートをどのように切らせるかが課題となった。本稿は従来のブレンド型授業での経験をもとに、授業構成を再考し遠隔授業に最適化しようとした新たな一歩を報告するものである。キーワード遠隔授業、英語教育、英語力定着、教材活用、教師の役割図1スパイラル型ブレンド教育のコンセプト(Ogurietal.2018)

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