中部大学教育研究20
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6単位が修得できない理由最後に、履修登録をしたにも関わらず単位の修得に至らなかった受講生について分析しておきたい。毎授業の学習の積み重ねを重視する「英語スキルⅠ/Ⅱ」では、理由なく欠席が3回を超えた場合、つまり4回以上欠席した場合、特別な理由のない限り不可と判断することになっている。つまり15回の授業のうち最低でも12回(80%)の出席が要求される。表11に示すように、成績と出席率にははっきりした関係があり、春学期と秋学期のいずれにおいても単位を修得できなかった学生の出席率は極めて低い。単位未修得者(E評価)について言えば、春学期は60名(51.3%)、秋学期は76名(55.1%)が規定の出席率を満たしておらず、そのため自動的に不可になったと考えられる。この傾向は再履修生ではより顕著であり、表12に示すように、単位を落とした再履修生の出席率の平均は4割に満たない。規定の出席率を満たさず自動的に不可になったと考えられる受講生の数は、春学期34名(79.1%)、秋学期54名(91.5%)である。授業に魅力を感じず出席率が低くなった可能性は否定できないが、履修登録後1度も出席していない受講生もいる。その数は、通常の履修生では春学期、秋学期それぞれ1名(N=2,225,0.4%)と4名(N=2,199,0.2%)、再履修生では春学期、秋学期それぞれ8名(N=122,6.6%)および15名(N=155,9.7%)である。単位を修得できない受講生の出席率の低さは過去からずっと続いている問題であるが、2019年度も同じ傾向が見られた。この問題については、やはり、オリエンテーションや指導教授制を利用したきめ細かい対応など、抜本的な対策が必要であろう。7結語以上、本稿では2018年度から実施を開始した改訂版の共通テスト(到達度確認テストおよび語彙テスト)を中心に2019年度の全学向け英語教育に関する報告を行った。2018年度に見られた改善点は、概ね2019年度でも確認された。一方、単位の修得に至らなかった受講生についても検討したところ、これまで同様、出席率が大きな問題であり、抜本的な対策が必要であることが明らかにされた。今後もデータ収集、分析、検討を重ねて、より良い教育体制の構築を目指していきたい。謝辞教育方針の策定、各種テストの実施、その他の運営面でご協力くださった先生方、本報告の内容に関して貴重なコメントを下さった先生方に厚くお礼申し上げます。注1)「英語スキルⅠ/Ⅱ」は旧カリキュラムの「フレッシュマン英語A/B」に対応している。2)「実力テスト」は、2012年度までは「プレースメントテスト」と呼ばれていた。3)非正規分布をなしていたため、ノンパラメトリックな検定を行った。参照文献大門正幸・今村洋美・西村智・野田恵剛・山田伸明(2010)「大学英語教育に関する基本方針について-専門教育機関としての大学における英語教育の在り方を巡って-」『中部大学教育研究』10,23-28.大門正幸・柳朋宏・西村智・野田恵剛・山田伸明(2011)「全学英語教育に関する中間報告」『中部大学教育研究』11,87-94.大門正幸・今村洋美・西村智・野田恵剛・山田伸明・中部大学教育研究No.20(2020)―34―表10フレッシュマンテスト/実力テストと到達度確認テストとの相関表11成績と平均出席率表12成績と平均出席率(再履修生)

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