中部大学教育研究20
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年後」のインタビューの中で、その視点に関連して、実際に改善が行われていた場合は●および○を記した(同類型内で複数の人から挙げられていた場合は●、1名のみの場合は○)。なお、改善を企画しているが、インタビュー時点では未完了である場合は、△を記した。この表6に基づき、5.4~5.6では、目的2および3についての分析を行った。5.4授業公開直後に見られる変容授業サロンへの参加が、授業の評価視点に及ぼす短期的な影響について検討するという目的2のために、授業スタイルの類型別に見た「(b)公開直後」の授業の評価視点の出現パターンに着目した(表6)。なお、「(b)公開直後」のリフレクションの中で述べられている記述例を見ると、自らの授業を振り返り、反省する言及が全般的に多かった(具体例として、「小ネタが学生に受けない」「コンピュータの画面を見てばかりで、あまり学生の方を見ていないことに気付いた」「学生の発言を引き出すことができなかった」など)。その一方で、想定通りにできたというプラスの言及もあった(具体例として、「やりとりを重視しながら授業ができている」「ほとんどの学生さんが積極的にグループワークに参加してくれていた」など)。このリフレクションの中で、自分の授業の反省点を挙げると共に、今後改善が必要な部分を具体的に示していた場合は、表6に▲(類型内で1名のみの場合は△)で示した。このような改善策を、いずれかの視点で挙げていた教員は、14名中11名(78.6%)であった。そして、類型を問わず改善策が示されやすかった視点は、『2.教授』の中の<⑤教材提供>と<⑥知識伝達>であり、共に14名中6名(42.9%)の人が挙げていた。授業サロンでは、リフレクションを行う前に、自らの授業を録画したDVDを視聴する必要があるが、このDVDは、教室の後方から授業の様子を撮影しているため、学生の行動により、画面の中で行為者の位置にいる教員の行動に焦点が当たりやすい。その結果、教員から学生に向けたコミュニケーションである『2.教授』の改善が生じやすかったのかもしれない。以下に改善策の具体例を示した。B4教員:もう少しアクション(身振り)を増やし、ゆっくりアクションをとりつつ、授業を進めるとよいかと思った。一方、自分の授業のDVDを視聴したことで、今まで注意を向けていなかった学生の様子に新たに注目するきっかけになったという意見も寄せられた。以下に、具体例を示した。C2教員:ビデオ撮影と編集をしていただいて、自分が話している間の学生の動きを見て把握することができてよかった。A3教員:前で説明していると、学生の操作画面を見ることが出来ないが、今回の授業の記録を見ることで、はじめて学生それぞれで進度の違いが出ていることが良くわかった。授業サロンでは、リフレクションを行う際に、可視化された素材(DVDなど)を利用する「プロセス・ディスプレイ」の手法を取り入れているが(今野他,中部大学教育研究No.20(2020)―26―表6授業スタイルの類型別にみた各時点における授業の評価視点の出現パターン

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