中部大学教育研究20
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⑬授業外学修活動促進>の視点が見られる点が特徴になっていた。そこで、「教授+練習型」授業スタイルと命名した。また、『6.学生の学修結果』の<⑰授業態度>の中の【意欲・関心】と、<⑱学修成果>の中の【知識・技能獲得】が、授業の達成目標として挙げられていた。先述のように、該当する4名の講義の履修登録者数の多寡および所属学部と、類型の間には連動性は見られなかった。しかし、「(a)授業紹介シート」の記述内容をみると、資格などの外的基準が明確に存在し、定番の知識・技能を正しく効率よく身に付けさせること<⑱>が授業目標となっているという共通性が見られた。そして、この授業目標を達成するために、ICTを活用しながら、授業の内外で学生の作業量を増やす試みが盛んに行われていた<⑪⑬>。一方、教員と学生のコミュニケーション、および、学生同士のコミュニケーションを活性化する方向性<⑧⑨>は、授業サロンの参加前にはほとんど見られなかった。(3)教授+交流+複写型(第Ⅲ型):この類型には、講義科目の3名が該当していた。『2.教授』の視点をベースに置き、『3.交流』に該当する視点は見られたが、『4.活動促進』については、<⑩複写作業促進>と<⑫能動的活動促進>の視点のみが見られる点が特徴になっていた。そこで、「教授+交流+複写型」と命名した。また、『6.学生の学修結果』の<⑰授業態度>の中の【積極的学修態度】と、<⑱学修成果>の中の【知識・技能獲得】の向上が、授業の達成目標として挙げられていた。第Ⅲ型についても、該当する3名の講義の履修登録者数の多寡および所属学部と、類型の間には連動性は見られなかった。しかし、「(a)授業紹介シート」の記述内容を見ると、資格などの外的基準が明確に存在せず、人間を含む複雑な生体システムの多面的な理解が目標になっている科目が該当していた。そのため、学生の学修態度と知識獲得に配慮しつつ<⑰⑱>、教材に動画や画像を用いるなどの工夫を凝らし、コメントシート<⑧>と全体への回答<⑨>で、教員と学生のコミュニケーションを維持する方法が取られていた。一方、学生同士のコミュニケーションや学生の主体的な活動を活性化する方向性はあまり見られず、授業内での学生の活動は、配付された穴埋め資料への書き込み<⑩>と、余白へのメモ<⑫>が主体だった。(4)教授+全活動促進型(第Ⅳ型):この類型には、講義科目の1名が該当していた。『2.教授』の視点をベースに置き、『3.交流』に該当する視点はなく、『4.活動促進』については、4種類の下位カテゴリーの全ての視点が見られるという点が特徴になっていた。そこで、「教授+全活動促進型」と命名した。なお、『6.学生の学修結果』では<⑱学修成果>の中の【知識・技能獲得】と【汎用的能力獲得】が、授業の達成目標として挙げられていた。第Ⅳ型の「(a)授業紹介シート」の記述内容を見ると、授業内容の理解と、就職後も自律的に考えられる人材の育成を目指し<⑱>、穴埋めへの書き込み<⑩>、小テスト<⑪>、ペアやグループでの意見交換<⑫>、ICTを活用した予習課題<⑬>など、学生のアウトプットを増やすための方法が多面的に実施されていた。そのため、100名を超える講義でありながら、アクティブ・ラーニング型授業の要件を備えるものになっていた。(5)演習型(第Ⅴ型):この類型には、演習科目の5名全てが該当していた。『2.教授』の視点をベースに置き、演習および実習科目で通常みられる『3.交流』の<⑨フィードバック>と、『4.活動促進』の<⑫能動的活動促進>と<⑬授業外学修促進>の視点が中心になっていることから、「演習型」と命名した。また、『6.学生の学修結果』の<⑰授業態度>と、<⑱学修成果>の向上が、授業の達成目標として挙げられていた。第Ⅴ型の「(a)授業紹介シート」の記述内容を見ると、授業内容の理解と技能の取得<⑰>および将来的にも役立つ汎用的能力の育成を目指し<⑱>、問題解決型学修および体験型学修を基本とするアクティブ・ラーニング型授業が行われており<⑫>、授業の予習・復習課題が出されていた<⑬>。また、教員と学生のコミュニケーションは、課題評価の返却および授業時の個別対応<⑨>によって維持されていた。(6)類型別の授業評価視点の出現パターン:ここまでの分析により、授業サロンに参加する前の分析対象者の授業スタイルを5類型に分類することができた。この類型は、溝上(2014)によるアクティブ・ラーニング型授業の技法と戦略についての理論的類型とも対応しており、一般性が高いと考えられる。そこで次に、この類型別に、「(a)授業紹介シート(授業公開前)」「(b)授業振り返りシート(授業公開直後)」「(c)授業見学コメントシート(ピア評価)」「(d)インタビューの遂語録(1~5年後)」の各時点における18種類の授業評価視点の出現パターンを、表6に示した。表6においてチェック()がついている下位カテゴリーは、評価の正負を問わず、何らかの形で各下位カテゴリーに含まれる視点が見られたことを表している。「(b)公開直後」のリフレクションと「(c)ピア評価」の中で、その視点に関連して改善が必要な部分が具体的に挙げられていた場合は、特に▲および△を記した(同類型内で複数の人から挙げられていた場合は▲、1名のみの場合は△)。また、「(d)1~5FD研修としての「授業サロン」の短期的・長期的な受講効果―25―

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