中部大学教育研究20
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かもしれないと感じた。映像や音楽など、文字と図像以外の教材も活用すべきだろう。B5教員:学生に興味を持ってもらうために、質問シートといいますかコメントシートを毎回使われている先生がいらっしゃったりですとか、これらの記述からも、『6.学生の学修結果』に意識を向けることや、『6.学生の学修結果』を授業の達成目標として意識することが、教員の行動を変えるきっかけとして機能している様子が伺える。これまでのリフレクション研究では、教員が学生の学修結果をどのように認識しているかという点については、中心的なカテゴリーとして扱われてこなかった。しかし、本研究のリフレクションの記述において上記のような関連性が見られたことからも、教員の授業運営の変容プロセスを考察する際には、必要なカテゴリーであると考えられる。以上で述べた点を踏まえ、授業の評価視点の5種類のカテゴリー間の関係性を図2に示した。5.2授業の評価視点の全般的特徴5.1において、授業の評価視点として、6種類のカテゴリーと18種類の下位カテゴリーを生成した。そこで次に、これらのカテゴリーを用いて、自分の授業に対するリフレクションと、同じ授業に対するピア・コンサルテーションの特徴について検討した。(1)リフレクションにおける評価視点の特徴:リフレクションにおける評価視点の特徴を検討するために、「(a)授業紹介シート(授業公開前)」、「(b)授業振り返りシート(授業公開直後)」、「(d)インタビューの逐語録(授業公開1~5年後)」の記述から生成された単一の意味内容をもつ切片を、表3の18種類の下位カテゴリーに再分類した。そして、(a)(b)(d)のそれぞれの時点の切片の中に、各下位カテゴリーに分類される評価視点が1度でも見られた授業担当者と、1度も見られなかった授業担当者に、14名を分類した(B1とC1は同一人物のため、先の参加年度にあたるB1のデータを分析に用いた)。表4には、授業公開前、公開直後、公開1~5年後において、各評価視点に関する言及が1度でも見られた授業担当教員の割合を示した。例えば、公開前の時点で、14名中10名(71.4%)が、自分の授業へのリフレクションの中で、<③管理>に関連する視点を示したことになる。表4を見ると、自分の授業のリフレクション(a、b、d)では、授業運営に関わる視点として、『1.基盤』の中の<③管理>と、『2.教授』の中の<⑤教材提供>と<⑥知識伝達>に言及する人がいずれの時点でも多く、それに比べると、『3.交流』と『4.活動促進』に関わる評価視点に言及する人は全般的に少なかった。ここから、自らの授業の改善を試みる場合には、よりコントロールしやすい教授行動の改善や、授業内の秩序の維持に注目が向きやすい様子が伺える。また、『6.学生の学修結果』の中の<⑰授業態度>にも、ほとんどの人が言及しており、学生の授業態度を考慮に入れた授業運営が意識されていた。(2)ピア・コンサルテーションにおける評価視点の特徴:続いて、ピア・コンサルテーションにおける評価視点の特徴について検討するために、各教員が公開した授業ごとに、見学したメンバー4名の「(c)授FD研修としての「授業サロン」の短期的・長期的な受講効果―23―図2授業に対する評価視点間の関係0.0%0.0%57.1%35.7%0.0%14.3%42.9%42.9%71.4%85.7%85.7%85.7%0.0%14.3%42.9%28.6%92.9%92.9%100.0%92.9%71.4%100.0%100.0%100.0%28.6%35.7%92.9%50.0%42.9%78.6%78.6%85.7%64.3%35.7%85.7%78.6%35.7%21.4%50.0%28.6%35.7%28.6%35.7%42.9%57.1%50.0%92.9%57.1%57.1%14.3%64.3%71.4%78.6%28.6%50.0%71.4%64.3%50.0%92.9%92.9%71.4%64.3%64.3%85.7%85.7%85.7%100.0%100.0%85.7%57.1%92.9%100.0%表4授業の評価視点ごとの教員の割合(N=14)

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