中部大学教育研究20
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1はじめに2019年4月から1年間、本学の海外研究員として、英国リーズ大学教育学部で研究を行う大変貴重な機会をいただいた。本稿ではリーズでの充実した研究活動に加えて、欧州連合(EU)離脱や新型コロナウイルスへの対応に揺れた英国での1年間の生活について報告させていただく。2リーズリーズ(Leeds)は、イングランド北部にある人口約80万人の都市である(図1)。イングランドではバーミンガムに継ぐ規模の都市でありながら、郊外にはヨークシャーの広大な田園風景が広がる英国らしい街である。ロンドンまで電車で2時間30分、エディンバラまで3時間の距離に位置しており、交通の便も良い。マンチェスター国際空港にも近く、観光地としても有名なヨークには電車で30分程度で行くことができる。市内にあるリーズ大学は、秋篠宮ご夫妻の次女である佳子さまが2017年9月から1年間の交換留学をされたことでも有名である。世界各地から学生が集う大学であり、滞在中には日本出身の大学院生や交換留学生らと顔を合わせる機会もあった。キャンパス内には4つの図書館があり、蔵書数は合計280万冊に及ぶ。これは英国内でも最大級の規模の蔵書数である。教育学部の目の前にあるLaidlawLibraryでは、学生が夜遅くまで課題や研究に取り組む姿が印象的だった。私は教育学部(写真1)の客員研究員(VisitingAcademic)として、外国語教育の実践者研究の分野で著名なJudithHanks博士と共同研究を行う機会を得た。研究テーマは「『探究的実践』に基づく英語授業の研究」であった。3研究私の研究分野は外国語教育、特に英語教育における授業研究である。博士論文の執筆後、英国やブラジルを中心として発展を遂げた「探究的実践」(ExploratoryPractice)について、この取り組みを牽引した研究者らの生の声を聴きたいという思いが年々膨らんでいた。そのような折に、本学の海外研究員の制度を利用し、当該分野を代表する研究者であるHanks博士と共同研究を行う大変貴重な機会を得た。3.1探究的実践探究的実践は、学習者と教師がともに実践・研究を創造する、当該分野では独特な授業研究だと言える。学習者あるいは教師が自身の「パズル」(puzzles)を探究することで、実践の理解を深めることを目指す。―139―英国リーズでの滞在を振り返って加藤由崇*1図1英国におけるリーズの位置・OpenStreetMapcontributors*1人間力創成総合教育センター語学教育プログラム(英語)講師写真1リーズ大学教育学部

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