中部大学教育研究20
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した。英語での対話以前に、全盲や難聴者、軽度の認知症の入居者も多い中、学生たちは何とか頑張ってコミュニケーションし、最後はみんな素晴らしい笑顔であった(写真5)。学生たちは時折通訳者を介しながら、どんどん良い質問をし、現地スタッフにもなかなか心を開いてくれない方とも交流でき、スタッフも感動していた。言葉がうまく通じなくても、寄り添い、耳を傾けることで通じ合えるという、看護の基本を実感するよい機会になったと思う。<9月5日>午前中の英語クラスの後は、CPIE内でCSULBの看護学部のデボラ教授の講話と施設見学で、楽しく学んだ。「PathtobecominganRegisteredNurseintheU.S.A.(邦題:アメリカで看護師になるために)」というテーマで講話があった。CSULBの看護学部は800名受験して80名しか入学できない、狭き門と知って、皆(教員も)驚いた。学生目線のユニークな質問もあり、事前学習の成果もあって日米の医療制度や看護教育の相違点、日本のいいところを発見できたようだ。これからの応用臨地実習で、再認識してくれるといいなと思った。その後、看護学部棟と専属のインストラクターがいるシミュレーションラボも見学させてもらった(写真6)。当初は施設見学しかできないはずで通訳も依頼していなかったが、荒川が通訳を頑張り、学生が熱心にメモを取りながら学ぶ姿勢に感動され、インストラクターのモリーさんが実際にシミュレーターを動かしながら詳細に説明してくれ、全員に記念品までいただいた。成人、母性、小児、新生児といった様々なシミュレーターを使用してセルフトレーニングができ、ラボ専属のインストラクターがいることに、シミュレーション教育の浸透を実感した。本学のシミュレーション教育の環境は、CSULBと比較してもなかなか誇れるものではないかと感じたが、ラボ専属のインストラクターがいることが、とても効果的にラボを運用できているコツであり、ラボの予算に人件費を充てることができることをうらやましく思った。<9月6日>実質的な研修最終日、午前に最後の英語レッスンと修了セレモニー、午後はロサンゼルス郡で2番目に大きな病院であるSt.FrancisMedicalCenterを訪問した。CSULB内でのセレモニーでは、自薦と他薦の学生2名が英語でスピーチし、この研修での学びを披露した。学生は一人ひとり素敵な修了証を授与され、満面の笑顔だった(写真7)。MedicalCenter(写真8)の施設概要の説明には、各診療科のスタッフの方も一緒に参加し、学生からの質問に対応してくださり、とてもアットホームな雰囲気であった。その後、ロサンゼルス郡でも有名なER(EmergencyRoom救急救命室)、ICU(IntensiveCareUnit集中治療室)、バースセンターを見学した。学生20名は人数が多いということで、急遽2グループで交代で見学することになった。1グループが見学中は、もう1グループは待ち時間に現地スタッフへの質問タイムも設けていただいたので、やはり引率教員が2名いてよかったと思った。中部大学教育研究No.20(2020)―134―写真5リースが完成して笑顔の入所者と学生写真6母性・小児看護のシミュレーションラボ写真7修了証授与後の記念撮影

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