中部大学教育研究20
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ど、担任の先生から話を聞いた」「一人ひとりに役割が与えられていた」との回答があった。キ.特別活動(1人)1人のみであり、「学級、学年の児童の発達段階にあわせて全員が活動できる活動内容を行っていた」ことを挙げている。ク.教科指導(1人)1人のみであり「全体だけでなく一人ひとりに対しての目標や成功体験が必要だと感じた」とのことである。ケ.実践的な指導力の醸成(3人)3人とも授業参加による経験を挙げている。「指導教員から、『あの声掛けは良くなかった』と言われてから、指導に使う言葉について考えるようになり、ポジティブで子どものやる気を引き出す声掛けや、時には待つ姿勢など、子どものモチベーションと自尊心を大切にしたうえでの指導をすることが大切だと気づいた」「砂に触れたり、音を鳴らしたり、色が変わるのを見たり、足湯で温度を感じたりと、感覚を大事にした教材づくりがなされていた」との回答があった。コ.学校現場の雰囲気(7人)7人全員が小学校との違いや特別支援学校でしか行われていないことを意識した記述であった。具体的には、「移動や排泄、食事の補助」「生徒と共に過ごす一日、先生の役割や学校への思い」「学年以外の先生との交流」「先生達が情報共有、協力、連携する姿」「看護師さんや保護者の方とのかかわり方」「発語と運動が難しい子どもが多い肢体不自由児の学校の空気をつくるのは教師。教師がとにかく笑顔で、たくさんの言葉を交わし、パワフルに動いていた」「教師が楽しそうだと、子ども達も楽しそうに見える」「トイレや水分補給の状況など、細かい情報を共有しあうことが大事」「とてもコミュニケーションが多く雰囲気が良い」等であった。サ.他の教職科目での活用(4人)3人が大学での座学や模擬授業で実際の子ども達や教材をイメージしながら行うことができたという旨の意見であった。また2人は、特別支援学校に限らず、「子どもへの寄り添い方や先生同士のかかわり方」「小学校での学び」にも活用できたとのことであった。シ.教育実習に接続する活動としての学校現場(5人)5人とも特別支援学校特有の様子や活動を挙げた。具体的には「窯業や、木工作業などいろいろな活動の体験」「一人ひとりにあった課題、教材、方法を用いること」「生活に関する経験」「朝礼での教師間の連携」「特別支援学校の授業イメージ」「学校での子ども達の活動の様子」「教員の視点」であった。ス.自らの教員としての適格性を把握する機会(2人)2人から正反対の回答がみられた。「通常学級との違いに上手く対応できるかを確かめることができた」「実際の先生方のように支援をすることができず、自分の実力を感じた」とのことである。セ.地域や保護者との連携の重要性(4人)4人とも連絡帳や話し合い、送迎時の声掛けによる「体調」「朝ご飯の量」「目覚めの良さ」「機嫌」などの保護者や教師との綿密な情報交換・共有を挙げている。「意思表示の難しい子どもの体調等を把握するため」や「保護者の方の安心していた様子」からその重要性を理解したとのことである。3.2「自分自身の態度や理解の変容」に関する項目について3.2.1向上したと回答した人数「自分自身の態度や理解の変容」について尋ねた11項目について、向上したと回答(5段階のうち4または5)した学生の人数が多い順に表2に示した。7人全員が向上したと回答した項目は、a.児童・生徒との接し方や児童・生徒と接する際の態度、e.気の配り方、目の向け方など、状況把握しようとする態度、i.自分自身の不勉強に対する反省・学習への動機づけ、j.子どもともっと遊ぶ・話すなど、より積極的にかかわろうとする意欲、の4項目であった。次いでf.子どもの主体性の尊重など「教える」ばかりではないという意識、g.体力面・精神面など、児童・生徒の心身上の大変さに対する理解、の2項目が6人であった。すべての項目において半数以上の学生が向上したと回答しており、11項目中10項目は5人以上であった。3.2.2きっかけとなった理由や場面「自分自身の態度や理解の変容」について尋ねた11項目について、向上したと回答(5段階評価のうち4または5)した学生に「そう思うきっかけとなった理由や場面」を尋ねたところ、以下のような回答が得られた。以下に、6人以上が向上したと回答した6項目(a、e、f、g、i、j)について、それぞれ5人中部大学教育研究No.20(2020)―126―表2向上したと回答した人数

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