中部大学教育研究20
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程度を5段階で自己評価してもらい、さらにどのように向上(低下)したのか、そのきっかけとなった理由や場面の記述を求めた。3結果3.1「教職インターンシップの目的」に関する項目について3.1.1達成したと回答した人数「教職インターンシップの目的」について尋ねた14項目について、達成したと回答(5段階のうち4または5)した学生の人数が多い順に表1に示した。7人全員が達成したと評価した項目は、ウ.教師の職務全般に対する理解が深まった、オ.児童・生徒理解が深まった、コ.学校現場の雰囲気を感じることができた、の3項目であった。次いで、イ.学校における教師の役割に対する理解が深まった、シ.教育実習に接続する活動として学校現場をあらかじめ理解できた、の2項目が5人であった。一方、達成したと評価した学生が2人以下だった項目は、カ.学級経営に関する理解が深まった、ス.自らの教員としての適格性を把握する機会となった、キ.特別活動に対する理解が深まった、ク.教科指導に対する理解が深まった、の4項目であった。3.1.2具体的場面や理由「教職インターンシップの目的」について尋ねた14項目について、達成したと回答(5段階のうち4または5)した学生に「そう思った具体的な場面や理由」を尋ねたところ、項目ごとに以下のような回答が得られた。なお、()には回答が得られた人数を記す。ア.教師の意味や教師として働くことの意義(4人)4人全員が、障害児に対する授業、授業準備、かかわり等を実際に観察・経験したことを挙げていた。例えば「重度肢体不自由児の食事場面、苦手な返事や楽器の指導場面などで一人ひとりの発達に合った内容・方法でできるように促し、子どもと一緒にリアクションしたり、喜んだりする場面」などであった。イ.学校における教師の役割(5人)4人が子どもの将来ために個々の能力、目標に応じてできることを増やそうとする教員の姿を挙げており、具体的には「子ども同士のコミュニケーションの仲介」「スモールステップの指導」「一人ひとり特性や障害の程度が全く違う個々の発達段階に合わせて、音の出る教材や、持ちやすい紐など、教材研究・教材開発する教師の姿」「良い授業を作り上げるために学ぶ姿勢や子ども理解」などであった。2人が他職種や保護者との連携の重要性を挙げた。ウ.教師の職務全般に対する理解(7人)7人全員が授業外の様々な職務や役割を挙げており、具体的には、「学習環境の整備」「移動の介助」「排泄の介助」「食事の補助」「清掃」「保護者との連絡」「体調管理」「学校運営業務の分担」であった。授業や学習環境では、「個にあった授業(準備)」「一人ひとりに教員がつき、その子に合った教育支援」「安全確保の徹底」が挙げられた。エ.教師が行う児童・生徒指導(3人)達成したと回答した学生が半数以下であり、「小学部では日常生活にかかわる活動、中高等部は自立を目指した技術」「手を握ったり触れ合ったりする」「個々に応じた指導」と、捉え方や感じる場面もそれぞれであった。オ.児童・生徒理解(7人)7人全員が「担当クラスだけでなく多くの生徒と交流ができた」など、実際に様々な子どもとかかわったことを挙げている。具体的には、「歌が好きな子、すぐ座り込んでしまう子、動きがゆっくりな子など一人ひとりこだわることが違っていた」「重度重複障害のクラスでは、本当に様々な子どもがいた。かかわっていく中でもみんなそれぞれ繊細で、笑ったり声を出したりしてアピールしてくれる」「意思表示をさせること、また、それに気づき汲み取ることは、日頃から意思を読み取ろうと思って子ども達を観察していなければできない」など、一人ひとりの特徴を捉えようとする姿がみられる。このうち2人は、「はじめはかかわり方がわからなかったが、児童の興味関心があるものを使ったり、先生に特徴を聞きながら寄り添えるようにかかわりを持つようにすると、話すことができるようになった」「最終日に近くなるほど、その生徒が、目線や声、指先、口角など、何をどう使って意思を表示してくれて、それが何を示しているのか少しずつ分かってきた」と、子ども理解が進んでいった様子を記述している。カ.学級経営(2人)2人と少なかった。「〇〇な学級を目指しているな「特別支援学校教職インターンシップ」の意義と課題―125―表1達成したと回答した人数

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