中部大学教育研究20
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も何回かあった。・緊張感の欠如によるやる気の低下、課題の提出を忘れることです。私自身いつでもやれるという思いから提出し忘れた課題があります。・授業でわからないことがあっても先生にすぐに聞けない事だ。他の先生の中にはメールしても返信がこない先生もいて大変戸惑った。・声付きのスライドで授業を聞いて、レポートを提出するという流れですが、結局、終始無言の状態なので、意見交換の練習として、クラスワークの機会を設けることができたらと思いました。6まとめ:態度や行動の変化を促せたか冒頭で触れたように、この授業は、異文化コミュニケーションに関する基本的な知識を獲得するばかりではなく、「文化相対主義」に基づき、考え、行動できる学生を育むことが授業の目標である。顔を見ることも不可能なオンデマンド型の授業で、情意や行動のレベルでの変化を期待できるのか当初は不安であった。実際、不可能に近いと考えていた。本来は、対面授業で多くの「帰納的発見型学習」や「疑似体験型学習」を通して、やっと何とか一定のレベルで理解できるようになる。だが、色々工夫しながら1学期間、この授業を運営してみて、それはある程度可能であることが実感できた。遠隔授業であるため、学習者らは必ず自ら能動的に学習し、十数回の課題を提出しなければならなかったという意味では、対面授業より、遠隔授業形態の方が、真面目に学習に取り組んだのではないだろうか。また、対面ではないため、対人的な不安がなく、落ち着いて学習できたという学生もいるかもしれない。以下の学生からの評価コメントからは、かなり深く考え、情意的にも刺激的な授業内容もあったことが推察できる。また、これからの彼らの行動面でもそれなりの影響があることが予想できる。以下のコメントは、この授業で「自分が変わったかもしれない」と書いた学生たちのコメントである。やや多いが、授業の活性化の工夫の効果と本講義の目的が達成できたかどうかを判断するよい資料となるので、ここに挙げさせていただきたい。1)行動や考え方の変化、2)授業への興味の高揚、3)偏見や差別意識への気づき、4)感情のレベルでの学びの4つのグループに整理した。1)行動や考え方の変化・最近では、ふと見かけた疑問などについて、今まででは考えようともしていなかったことに対して考えようとしている自分がいてとても驚きました。・この授業を受けてから考え方の幅が増えた気がします。人の考え方に寛容になりました。・この授業を通じて、私は少しでも異文化に寄り添えるような人間になりたいと思った。・異文化の授業はこれからの私の生活に大きく響くと思う。外国人をいい意味で見る目は変わるし、尊重を必ずすると思う。それほど異文化に触れられてよかったと思える授業内容だったと思う。・私はこの授業を通して知ることができたけれど、周りには自分の価値観で勝手に、外国人に対してよくない印象を持っている人がいると思います。その子たちにも、この授業で習ったことを、教えていけたらいいなと思いました。・このステレオタイプの授業を受けてからは、イメージだけで物事を判断するということが少なくなった。それは、この授業で、実際に体験してみることが大切であり、人から聞いた情報だけで物事を決めつけてしまうのは偏見や差別につながることがあり危険であることを知ったからである。・地元のミスコンに出てみた。出会った全ての人と関わり、実際に授業で学んだ「接触仮説」として、他の参加者にコミュニケーションをとってみたが、以前鬱病にかかっていた人、自分の魅力を引き出したいと考えている人、自信がないからこそ変わりたいと思っている人、など様々な考え方や文化に触れることができた。その体験から、自分自身の生き方におけるステレオタイプや偏見に気づいた。皆一人ひとりが全力で努力し、自分と向き合っていた。2)授業への興味の高揚・異文化コミュニケーションはほんとに好きな科目になったので、遠隔でもここまで受けられてよかった。楽しかったです。・結果的にこの「異文化コミュニケーション」の授業を最後まで受けて本当に面白くて良かったです。・授業は少し笑いがでて疲れが飛んだ感じがして楽しかったです。・もっと異文化について理解を深めていきたい。・カルチャーショックという言葉や差別や偏見について分かっていると思っていたけれど、講義を受けてはじめてそれがどういうことなのかを知り、もっと学びたいと思わせてくれた講義でした。3)偏見や差別意識への気づき・自分の中にある差別意識に気づき、細心の注意を払う必要があると思いました。・自分でも本当に驚かされました。「差別するとかほんとサイテー」とか言っていた自分が恥ずかしいです。この様に自分の気づいていないところで差別しオンデマンド型遠隔授業の活性化―111―

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