中部大学教育研究20
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が始まってしまう。偏見は見た目で相手に言う事も行動を起こすこともないですが、差別は実際行動に移している。これがなかなかなくならないのが現状なので、過去にも学んだとおり、相手の文化を受け入れて、自分にあてはめてみる。そういったことを取り入れていきたいと考えさせられた春学期の授業でした。・「ステレオタイプ」について考えさせられました。ステレオタイプは私たちの脳内に常に存在していて、その情報や記憶を元にあるものをこういうものだと当てはめていることを知りました。・張素から学ぶ異文化コミュニケーション能力では、文化相対主義が大切だと改めて考えさせられた。4.6課題は全て応用問題授業が理解できたかどうかを確かめるには、その概要をまとめさせるというのが一般的だ。だが、それはあくまで、与えられた情報をどれだけ記憶に留めたかという点の確認にしかすぎない。本来、課題とはそれに取り組むことにより、さらなる深い理解を促すものでなければならない。特に、異文化コミュニケーション論という学問の性質上、受講者の「態度」や「行動」の変化を促すような課題を提供したいと考えた。深く考えさせ、情意レベルに訴えるような課題である。そのためには、学んだことを自分の生活に照らし合わせて、どのような態度や行動をとるべきかを考えるような課題が必要である。そこで、基本的に課題は全て応用問題とすることとした。例えば、授業で学んだことを何も知らない仮想中学生に理解できるように説明する、授業で学んだ問題が自分(日本人)の生活のなかでどのように表れているか、どのように対応できるのかを考える、ビデオ教材について学んだことと絡めて感想を書くなどの課題である。このような課題に取り組むことにより、「感動した」「考え方が変わった」「~しようと思った」などという「態度」や「行動」の変化を促すような学習体験ができると考えた。図5は価値観や志向(例えば、日本人は調和志向、集団志向、謙遜志向などの傾向がある)についての課題だが、これを十分理解したかどうかを確かめるために、調和志向、集団志向、謙遜志向とは何か?という問いかけはしていない。ここでは、自分の今までの生活体験(嫌われるのが嫌で発言しなかった、高校までトイレにまで友達を誘って行った、「つまらないものですが」と言いながら手土産を渡したなど)や映画やことわざに表れる日本人の志向について事例や体験談を記述し、解説することを要求している。図5の例ではやや難しいことも考慮し、例をいくつか示してある。以下の学生からのコメントを読む限り、課題に取り組むことにより、認知レベルを超えて情意レベルでの刺激が強く、態度や行動の変化があったことがうかがえる。・自分の未熟さを感じられる授業だった。異文化コミュニケーションという教科を受講し、物事の考え方が変わったと感じる。・将来の夢もなく、外国に強い興味もなかった私は、こんな気持ちでここにいることを情けなく思っていた。あの先輩方の経験談を読んでから、留学に強い憧れを抱き、世界を知りたいと思うようになった。そうすると、ほかの授業も楽しくなり、ここ最近は充実している。・カルチャーショックの先輩方の経験を読み、深く感動し、感銘を受けた。・私が最も印象深かった授業は、「小さな留学生」です。本当に良い影響を受けました。あんなに小さくわからないことが多い年齢にも関わらず自分を信じで学ぶ意欲はとても感動しました。異国の地で不安なことがあり泣きながらでも一生懸命人と関わる姿は本当に尊敬しました。とても勇気がいります。そんな彼女の姿を見て来年留学する時、私も積極的にコミュニケーションを取り、「自分から学ぶ」を大切に過ごしていきます。・張素の日本に来てからの、今まで全く触れても来なかった文化と小学生ながら必死に馴染もうと努力している姿にとても感動しました。日本に来る前とその一年後に張素が中国へと帰ったときの彼女の成長した姿を比較すると「人はこんなにも変わるものなのか」と感動したのを覚えています。私も彼女の考え方を見習い、一人の人間としてもっと成長できるよう頑張りたいと考えています。張素ちゃんを見習って過ごしていきます。4.7体験する、他の人に教える「討論」「体験を通した学習」「他人に教える経験」などはアクティブ・ラーニングで用いる基本学習形態オンデマンド型遠隔授業の活性化―107―図5自分の体験の中から答える

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