中部大学教育研究20
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ちゃんが日々日本語を覚えようとし、クラスメイトの人たちが一生懸命教えようとしていた所に感動しました。・オンライン授業じゃなかったら張素ちゃんの動画にも出会わなかったかもしれません。この素晴らしい動画に出会わせてくれた先生に感謝します。・パワーポイントで丁寧に説明してくださったり、動画をたくさん用意してくださったりしてとてもわかりやすい授業だったと思います。・今回の遠隔授業は長いようで短かった。与えられた課題には苦労したが、いろいろと自分でも異文化の事を考えることが出来た。この中で良かったところは、映像を使っての授業だ。もし普通の授業だったら板書するのに必死だ。・カルチャーショックを学んだ時、とても衝撃が大きかった。先輩たちの感想を見て、日本で感じている不安は海外へ行くと倍以上の不安になることを知った。私は人見知りが激しいためこの話を見たとき、とても不安になった。それと同時にとても考えさせられた。4.5教え過ぎない(自分でまとめ、考える)筆者の教員としての座右の銘に“TellmeandIwilllisten;Teach(Show)meandIwillremember;InvolvemeandIwilllearn.”-BenjaminFranklin.がある。これは、アメリカ先住民や孟子の教えとも言われているが定かではない。だが、アクティブ・ラーニングの重要性を世界中で、昔の人がすでに気が付いていたことは間違いない。アクティブ・ラーニングというのは英語では、ParticipatoryTeachingという。CommunicativeLanguageTeaching(コミュニケーションを取りながら、意味を伝えることを中心に置き言語を学ぶ方法)が主な教育方法となっているELF/ESL/EIL(国際共通語としての英語教授法)教育の分野では、ごく自然な発想であり、授業は常時学生参加型でなければならないと考える。学生を積極的に授業に関わらせる技術(studentinvolvement)は授業評価の基準としても最も基本的なことである。よってアクティブ・ラーニングの考え方は「当たり前」過ぎて、この重要性をわざわざ主張する人はいない。しかし、これは他の全ての教科においても本来は同じではないだろうか。情報をスプーンで口から与える(spoonfeeding)ような授業では、学習者は頭を働かせないし、学習効果は低くなりがちだ。受講者の立場からしても情報を与えられるだけの授業が興味をそそるとは思えない。もちろん、単純な講義でも刺激的でウィットに富み、学習者の頭がフル回転し、知的で感動的でさえあるものもある。例えば、あのTEDTALKSのビデオで世界で最も視聴されている講演者であるSirKenRobinsonの講義などはそのいい例である。氏はスライドさえも使わない。だが、あのような神業的な講義は普通の教員には難しい。学生に様々な問いかけをし、その反応をまとめ、さらに課題や作業を共有しながら効果的な授業を成立させることが一般的だろう。教え過ぎないで、学生と一緒に考える。ここに学生の能動的な学習への参加を期待するのである。受験勉強ではないのだから、答えやルールを直ぐに提供し、「もっと勉強したい人は自分で頑張ってください」という教え方は、学校教育にはそぐわない。このような考え方のもと、LMS上の提示スライドでは、可能な限り筆者が全ての情報をまとめて提供することはしないようにした。学習者が自らネットで調べて、スライドにある表を完成させる、あるいは、まずは筆者が質問を用意し、一度学習者に考えさせてから、次のスライドで情報提供するという形式にした。例えば、図4はステレオタイプについての導入用のスライドだが、まずは自分の中にあるステレオタイプについて気づかせることを目的としている。これを文字で説明してしまうと学習の「気づき」が起こらない。しかし、こうやって帰納的(inductiveteaching)に考えさせることによって、自らその背景にあるルールや考え方に気づき、記憶により強く刻まれることとなることが期待できる。このスタイルの学習方法は学生は不慣れであるため、戸惑うのではないかとも考えたが、以下のコメントにもあるように、深く考えるきっかけになったようだ。・やはり授業の中で「気づかされる」ことが僕的には一番面白いのかなと思いました。・異文化コミュニケーション論の授業は毎週自分自身を考えさせられてとても深い授業でした。特に自分に足りていないものがよく分かったと思います。・偏見と差別の授業でも考えさせられることが多くあり、これも、関西人はうるさい、すぐどついてくるなどといった偏見から始まり、それを種にして差別中部大学教育研究No.20(2020)―106―図4自分でまとめ考える

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