中部大学教育研究20
111/168

話のきっかけにもなったようだった。その後、横手准教授の運動指導のもと、ファミリーエクササイズを行った。報告会で発表された、各学科の特徴的な学生の学びを以下に抜粋する。保健看護学科・お母さん同士の繋がりを作ることは、1対1の家での子育てといった閉鎖的な空間から社会的な交流の場へと繋げることになり、子育ての支援にも繋がる。・健診などで病院で診てもらう機会以外でも、専門的な知識をもった人に相談し悩みを解決できる機会は、とても大切である。・お母さんからのタッチングなどコミュニケーションで、子は笑顔になり、その笑顔を見たお母さんも笑顔になっている姿が印象的であった。幼児教育学科・子どもだけでなく、保護者の方のケアの大切さについて学ぶことができた。・学生の緊張は子どもに伝わるため、リラックスして関わることが必要であることを学んだ。・遊んでいる赤ちゃんの表情・反応の意味を理解し、発達にあった支援やおもちゃを用意していく必要がある。・月齢によって発達が大きく違うことを実際に感じて学べた。月齢での発達はどのように違うかしっかり理解したい。スポーツ保健医療学科・赤ちゃんは言葉で意思表示をできないので、泣いたり笑ったり、少しの表情の違いや動きなどの、ちょっとした変化にお母さんは敏感になるのではないかと思った。・このようなセミナーがあることで、お母さん同士の繋がりができ、不安が解消されることで、子育てにプラスになるのではないかと感じた。・セミナーに参加して、赤ちゃんやお母さんへの接し方を学ぶことができた。接し方を学んだことで、赤ちゃんの出すサインに気づき、適切な対応ができ、お母さんの不安を和らげるような言葉遣いや接し方について、自分なりに考えることができた。自分が現場に出たとき、赤ちゃんやお母さんに安心を与えられる救急救命士を目指していきたい。4考察2019年度の子育てセミナー開催の目標の一つは、保健看護学科・幼児教育学科・スポーツ保健医療学科の3学科の学生が協同し、お互いの学びを共有することであった。保健看護学科の学生は、実習では主に新生児とその母親の産後の看護を行うため、産後(生後)2ヶ月以降の母児に接する機会が少ない。今回のセミナーを通して、乳児の成長発達の月齢による差と個人差だけでなく、母親と児との関わり、母親同士の交流の意味や専門職に相談できる場の重要性など、様々な気づきを得ていた。幼児教育学科の学生は、実習やサークル活動で幼児と触れ合う機会は多いが、乳児とその母親と接する機会が少ない。セミナーに参加した母親と乳児の関わりを見て、乳児の成長発達の違いだけでなく、母親と児によって育児にも個別性があることに気付くことができていた。スポーツ保健医療学科の学生は、乳幼児やその母親と接する機会がほとんどなく、3学科の学生の中でも最も緊張していたが、他学生が母児と関わる様子を見たり、実際に児を抱かせてもらう中で、場に慣れていっていた。「もしものときの備え」のミニレッスンでは、乳児の異物誤飲時の対応を的確に母親に教えることができており、専門性を発揮していた。救急救命士は、非常時の対応が職務のため、平時の母児と関わったことで、どのような声掛けや関わりが母児にとって安心感があるのかを知ることができ有意義であったと話していたのが印象的であった。このように、各学科の学生は、本セミナーの多学科協同を通し、子どもや母親との関わり方が学科の学生ごとで違っていたことに気付き、講義や臨地実習だけでは、学びきれない他職種との専門性の違いや連携について実感することができていた。また、母子の関わりや母親同士の関わり、母親と教員(専門職)との会話やミニレッスンにおける情報提供内容にも着目し、本セミナーが担う役割についても考察できていた。今回の子育てセミナーには、全期間で生後2か月から10か月の乳児が参加した。複数の乳児を同時に観察保健看護・幼児教育・スポーツ保健医療の多学科協同による乳児と母親を対象とした子育てセミナーの開催―97―写真7大学祭での活動報告会の様子

元のページ  ../index.html#111

このブックを見る