中部大学教育研究20
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黄強先生からは、講義もゼミも基本的ににCoursePowerを使い、レポートを課していたとの報告があった。羽後静子先生からは、3年生以上向け学部専門科目「国際政治学」について、優秀な学生と、ついていくのがやっとという学生と、受講者間で格差が著しいという報告があった。澁谷鎮明先生からは、3~4年ゼミはZoomを使って実施している一方、100人規模の大講義2つについては、音声なしのスライドをGoogleClassroomを通じて配信している、との紹介があった。内容については特に学生からの苦情も無く、評価は普段より少し簡単にしているとのことであった。一方、韓国語の授業であるが、ネイティブ教員である姜先生はオンライン授業実施が困難であったため、全面的にサポートした。感染しないよう周到な準備を行ったうえで姜先生を大学にお呼びし、毎回GoogleMeetでリアルタイム授業を行うセッティングをしたため、実質2コマ増えたようなものである、との指摘があった。本学部の教育の大きな柱である「国際英語」については、下記のような報告があった。伊藤裕子先生は、レベル別に分かれている国際英語については、MeetとLINEを併用し行った。1年生のクラスは、中上級に相当するレベルであり、毎回ほぼ全員出席した。2年生のクラスでは、補講でこれまで出していない課題を出すことを認めるなど、例年に比べ比較的易しくした。一方、ネイティブ教員による国際英語クラスの一部では、メールが全て英文で書かれているために学生が理解できないという問題が発生したため、メールや課題を翻訳するなどサポートをした、とのことであった。また伊藤先生からは、直接電話をかけて受講者のサポートを行ったが、いわゆる通信教育的なやり方に魅力を感じられない学生もいる、という学生側の意見の紹介もあった。また非常勤講師のなかには、真面目にやりすぎてメールを送りすぎている先生もおり、そのため受講者がストレス・プレッシャーを受けている、という事例の紹介もあり、楽しみながらやらないとダメではないか、無理するとよくないのではないか、という指摘がなされた。また伊藤先生の演習授業では、国際応用演習AはMeetとLINEを併用して実施し、数回は公開で行った。また4年ゼミについては、本来は、7月は卒論中間発表会を行っていたが、今回は通常通りできないので、秋学期にZoomで中間発表会をやってみてはどうか、という提案がなされた。中野智章先生からは、担当の授業のうち1つは文法の授業だったので、電子メール等を通して英作文の提出・添削を行った、他の英語2クラスはリアルタイムで実施し課題はほぼ全員提出した、との報告があった。最後に学部長の高英求先生から総括が行われ、秋学期の授業方法については現在検討中だが、遠隔授業が行われる可能性が高い、学外からも中部大学はよくやっていると言われた、学生からよりよいオンライン授業をしてくれという声がある一方で、「データダイエットをするべき」という意見があるとの紹介があった。また、4年間の学びの集大成としての卒論(卒業研究)については、まだ就活ができていない・終わっていない学生も多く、課題に追われて論文が進んでいない学生も多い、彼・彼女らには心のケアが大事なのではないか、という問題提起が行われた。4おわりに以上、前半に、15回の遠隔授業講習会の講習内容、およびメールによる情報共有について、後半に、遠隔授業に対する教員個々人の総括についてまとめた。前半の講習会については、15回も良く続いたと感慨深い一方、内容は思いつきや急な無茶振り、繰り返しが多いなど欠点だらけのように思えてくる。呼びかけ役の自分の授業準備が間に合わなくなり、講習内容も自転車操業となったかのようである。もっと実習に特化すべきだったかと反省している。参加者数も当初こそ多かったが、授業が始まると忙しくなったのか減少してきた。ただし、講習会と並行してメールでの情報共有があったため、参加者以外にも少しは役に立っただろう。講習会開催自体を「これこそFD」(和崎先生談)や「心のよすが」(高先生談)や「安否確認」(于先生談)と評価してくれる先生方もいた。あらためて急な依頼に応えてくれた講師陣、情報提供者に感謝する次第である。後半の遠隔授業に対する教員個々人の総括については、何よりもまず各教員が遠隔授業に真摯に取り組んだことが理解される。春学期期間中ずっと、授業方法を工夫し、学生の反応をよく見ていた。とくに、平井先生や岩間先生をはじめとしてスタートアップセミナー担当の先生方は、もっとも不安を抱えている1年生に非常に密接に向き合っていたし、英語担当の伊藤裕子先生は毎週学生の電話相談にのっていた。ほかにもさまざまなかたちでそれぞれの先生が努力されていた。私が間近にみていた、執行部の面々はみな獅子奮迅の働きだった。とくに、学生や学部教員、また非常勤の先生方に向けて的確なメールを送り続けてサポートした高学部長や中野学科主任には頭がさがる。本稿はたまたま遠隔授業講習会の呼びかけ役となった人間からみた講習会を中心とした国際関係学部の奮闘記である。おそらく他学部でも、また全国の大学で中部大学教育研究No.20(2020)―86―

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