中部大学教育研究19
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1はじめに2011(平成23)年度の全学共通教育のカリキュラム改定以来、全学英語教育科(現人間力創成総合教育センター・語学教育プログラム)では全学共通教育科目のスキル教育科目として「英語スキルI/II」1)を実施し、その成果や課題について検討すると同時に、その成果を本誌や学会等で発表してきた(大門他,2010;2011;2012;2014;2015;2016;2017、和田他,2013a;2013b、Imamuraetal.,2019、Wadaetal.,2014)。2017(平成29)年度には共通テスト(到達度確認テスト)の改定を行い、翌2018(平成30)年度からは改訂版を用いて授業を行っている。本稿では、2017(平成29)年度以前の数値を参考にしつつ、次の三つの点から、改訂版について検討を行いたい:(i)共通テストの結果の分析;(ii)フレッシュマンテストと実力テストの結果に見られる学力の変化;(iii)共通テストの結果とフレッシュマンテストおよび実力テストの結果との相関。2授業の概略と到達度確認テストの改定入学時に行われるフレッシュマンテストの成績によって、受講生は上級、中級、初級の3つのレベルに分けられる。教科書および教材は全学英語教育科(現語学教育プログラム)の教育方針に沿ったものである。2011(平成23)年度と2012(平成24)年度には既存の教科書を、2013(平成25)年度からは独自に作成した教科書を使用している。春学期と秋学期の最後に、授業内容の定着を確認するための到達度確認テストを実施している。2017(平成29)年度までは、その内容は、(i)英語を日本語に訳す語彙問題、(ii)日本語を英語に訳す語彙問題、(iii)文法に関する問題、(iv)読解方略に関する問題であったが、2017(平成29)年度に改定を行い、問題を(i)読解方略に関する問題と(ii)文法に関する問題に限定した。また、語彙に関する問題は到達度確認テストとは独立させ、秋学期に語彙テストとして実施することとした。2017(平成29)年度までは上級クラスのみ難易度の高い問題を出していたが、2018(平成30)年度からはレベルに関わらず同一の問題を出すことにした。問題の内容についても改定を加え、読解方略および文法については活用する力に焦点を当てた形式に変更した。語彙問題については、英語を日本語にあるいは日本語を英語に変換する形式を改め、文中の空所に入る適切な語を選択肢の中から選ぶ形式に変更した。秋学期には授業内容とは独立した実力テストを実施し、フレッシュマンテストの成績と比較することで、英語力の変化の確認を行っている。以下、3節では、到達度確認テストの結果について、4節では、語彙テストの結果について報告する。5節では、フレッシュマンテストと実力テストの結果および共通テスト(到達度確認テストおよび語彙テスト)―1―2018年度の全学英語教育に関する報告大門正幸*1・今村洋美*1・西村智*1・野田恵剛*1・和田珠実*2要旨全学英語教育科(現人間力創成総合教育センター・語学教育プログラム)では、2011(平成23)年度から2017(平成29)年度の7年間にわたって、当初策定した基本方針に従った教育を実践すると同時に、共通テストの実施を通して内容・成果の検証を行い、その結果を本誌で公表してきた。そして2018(平成30)年度からは、検証結果を踏まえ改訂版の共通テスト(到達度確認テストおよび語彙テスト)を実施することになった。本稿では、共通テストの結果の検討、フレッシュマンテストと実力テストの結果の比較を通して見た学力の変化、共通テストの結果とフレッシュマンテストおよび実力テストの結果との相関に焦点を当てながら、今回の改定について検討したい。キーワード英語教育、新版到達度確認テスト、フレッシュマンテスト、実力テスト*1人間力創成総合教育センター語学教育プログラム教授*2人間力創成総合教育センター語学教育プログラム准教授

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