中部大学教育研究19
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ていた。「研修をCAAC受講生と学生が一緒に学ぶことについてどのように思うか」という質問に対しては、CAAC受講生が全員、学生は88%が「大変よいと思う」と回答し、両者ともが一緒に学ぶことはよいと思っていた。CAAC受講生は、「若者のたくさんの人生経験や考えを知ることができる」「学生さんはとてもまじめである」学生は「世代間でいろいろな価値観があり、学ぶことができた」「普段大人の話をきくことが少ないけれど、講座ではいろいろ話ができた」「CAAC受講生は元気であった」などの意見があった。また、「講座を他の方に勧めたいと思うか」の質問に対しては、全員が「思う」と答えていた。今後、介護に関係する職業に就いてみたいと思うかという質問に対しては、CAAC受講生は89%、学生は73%が「思う」と回答していた(図2)。現在、実際、CAAC受講生の2名は介護に関する職に携わっている。6まとめ本報告は、CAAC受講生と学生が一緒に学ぶ共育の場について示すものである。講座では、基本的な介護の知識や技術を学び、現場実習を行った。それぞれの学習の場で、受講生同士の交流があったことが示された。また、アンケート結果からもCAAC受講生や学生自身、交流があったことを認識していた。CAAC受講生と学生とが交流する場として講座修了後にグループワークを設けた。ここでは、「介護ディサービスや訪問介護の様子や利用者(介護の対象者)とゲームや遊びを一緒に行ったり、食事を作ったりしたこと」、「家の掃除などでかかわったこと」など、自分が利用者に対してどのようにかかわったのか受講生一人ひとりが具体的な報告をした。CAAC受講生と学生が、同じ利用者に接したり、同じ施設で実習したこともあって、その時の介護の提供のねらいはどのようなことだったのかを話し合うことができた。また、「介護職員と利用者の間に信頼関係が築かれていると思った」「介護職員は利用者から話を聞き出していた」「利用者が楽しそうであったのは、介護職員の働きかけがあるからだと思った」「介護職員が利用者のコンディションを把握していた」など介護職員の活動を受講生は観察していた。講座で関心を持ったことのうち最も割合が高かったことは「介護の役割」であったことからも、受講生が共に「介護の専門職」の立場で利用者にかかわることを考えたのではないかと考えている。CAAC受講生は、「講座を積極的には受けようとは思っていなかったが終わってみて受講してとても良かった」、学生は「とても楽しい講座だった」という意見が大半であった。そこには、受講生が協力し合って講習を修了し、目標達成という成果が得られた上に、本介護職員初任者研修講座を通して共育の学びの意義―45―図1講座で関心をもったことは何か図2介護に関係する職業に就いてみたいか314116137

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