中部大学教育研究19
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向けて、研修内容、研修時間や講師の要件などが詳細に定められている3)。具体的な実施内容は(表1)のとおりである。講義(7日)・生活支援技術と実技試験(7日)・振り返り(実習1日)計90.5時間および自宅学習(添削レポート)39.5時間を合わせて130時間で構成されている。すべての内容を受講し、修了試験に合格すると「介護職員初任者研修課程修了証明書」が事業者から発行され、都道府県知事が認定した資格を得たことになる。2本学「介護職員初任者研修講座」の内容本学「介護職員初任者研修講座」は、S事業者に依頼した。S事業者には、この講座が本学のCAACの授業科目であることと、高齢者と学生が一緒に学ぶ共育の場であることをふまえて、大学での講座を開講してもらった。通常は3か月間を要す講座であるが、本学は8月の夏休みを利用し、お盆中を除き16日間の日程で行った。また、受講者が全員、介護ディサービスや訪問介護の現場実習ができる内容になっている。S事業者が行う開校式・修了式のほかに、本学独自の開講式・閉講式およびグループワークを行うことで、高齢者と学生が交流する環境を設けた。CAAC受講生へは事前に授業ガイダンスを行い、また、学生に対してはキャリア支援課からチラシの配付および一斉メールにて周知を行い、CAAC受講生と学生が一緒に学ぶ場であることを伝えた。受講費用は、テキスト代を含め、CAAC受講生は53,000円、学生は46,000円であった。講習場所は、22号館内2階のCAAC講義室、55号館の実習室で行った。CAAC受講生は、3単位修得条件として、毎回学習記録、修了後のまとめのレポートを課した。また、学生には、修了後の感想レポートの提出を求めた。3受講状況2015年度から2018年度の4年間でCAAC受講生23名、学生29名と52名が受講し、修了者50名(修了率96.2%)が介護職員初任者研修課程修了証明書を得て資格を取得した(表2)。学生受講者は、生命健康科学部が12名と最も多かったが、人文学部8名、応用生物学部3名、経営情報学部3名、国際関係学部2名、工学部1名と、いろいろな学部から受講にきており、全員が修了することができた。研修の受講動機は全員が「資格を得たい」であった。また、「介護に関心がある」と答えていたものは10名、「将来介護の職に就きたい」は8名であった。夏休み中の集中講習、日々の添削レポート、実技・修了試験と日程的にかなりハードであったのにもかかわらず、「楽しく講座をうけることができた」「講師の先生の話が実践的でわかりやすかった」などという意見があった。「この講座について満足であったか」という質問に対して全員が「ほぼ満足した」と答えていた。なお、講師は介護福祉士、社会福祉士の資格をもち、経験の豊かさをふまえた講義内容は、CAAC受講生にとって、「介護というのは暗いイメージだったけど明るいイメージに変わった」など新たな視点で捉えることにつながった。学生は、「このタイトな日程で修了することができるかどうか不安があったけれど、講師の先生がやさしく教えてくれたのでよかった」などの意見があった。4講座の様子積極的に講師に質問をするCAAC受講生の受講態度をみて、学生は「教科書にないことを質問するので、勉強になった」と言っていた。ある学生は、講義内容をまとめ、翌日全員に資料として配付していたことから、相乗効果がある学習がみられた。CAAC受講生は、「技術の手順がなかなか覚えられないし、きれいにできない。学生さんは、1回で覚えて、サッサとできる」と学生の記憶力と技術の取得能力の高さを認め、学生から何度も教えてもらっていた。介護職員初任者研修講座を通して共育の学びの意義―43―写真1講義を受ける写真2ベッドメイキングの練習表2受講状況

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