中部大学教育研究19
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1はじめに1.1介護職員初任者研修講座の開講に至った経緯本学は、以前より春日井市と連携し地域再生・地域活性化に取り組んできた。また,各研究室単位でも高蔵寺ニュータウンの高齢化問題などを通して研究活動を展開してきた。2013年8月には、春日井市における諸問題に対する本学の取り組みが文部科学省が推進する「地(知)の拠点整備事業」COC(CenterofCommunity)に採択され活動を開始した。この事業は自治体、産業各界と連携し、地域志向の活動を通じて学生の教育・人材育成に取り組み,地域の発展を重層的に支える大学の取り組みを国が支援するものである。なお、本学における申請タイトルは「春日井市における世代間交流による地域活性化・学生共育事業」である。この事業の一環として、2013年9月「CAAC」を設立した。CAAC設立の目的は、シニア世代が本学学生と共に学び、共に育つことを理想に掲げ、地域のリーダーとなるシニアを養成することであり、シニアが再学習する場を提供し資格や技術を身に付けて、再雇用も視野に入れたセカンドライフづくりをめざしてもらうことである。CAACの授業カリキュラムを作成するために高齢者を対象に調査を行ったところ、地域の「高齢化」に関心のあることがわかり、さらに高齢者の活動経験をいかした、資格取得ができる授業内容が望ましいことが示された。また、高齢者の8割は、大学生と共に学びたいと回答しており、若者との交流を求めていることもわかった1)。そこで、ワーキンググループを立ち上げ、超高齢社会を迎えて社会的ニーズが高い介護系資格の取得、つまり、介護職員初任者研修課程の修了証明書を得ることができるよう授業科目名を「介護初任者講習講座」として開講することを検討した。この授業を受講し、介護関係の資格を取得すれば、身近な人たちや地域に暮らす人たちに対して、在宅介護サービスの情報や技術を提供し、新たな地域活動を担っていくことができるのではないかと期待される。また、カリキュラムは、1年次に「高齢者福祉と介護保険法」を学び、学修の積み重ねとして、2年次秋学期選択科目(3単位)として開講することを計画した。また、本学学生が、少人数ではあるが介護関係の職業を選択していること、介護職員は社会的ニーズが高いこと、将来多様な介護系資格の取得につながるなど、本学学生に対しても有益な資格内容だと考えた。そこで、本学学生もCAAC受講生とともに介護職員初任者研修課程の修了証明書が得られるように「介護初任者講習講座」を「介護職員初任者研修講座」という名称とし、キャリア支援課と共催で開講することとした。このようにして「介護職員初任者研修講座」を高齢者と学生が一緒に学ぶ共育の場と位置づけ、その成果につ―41―介護職員初任者研修講座を通して共育の学びの意義-高齢者と大学生の世代間交流-藤丸郁代*1・松尾直規*2・對馬明*3・宮本靖義*4要旨中部大学アクティブアゲインカレッジ(以下、CAAC:ChubuUniversityActiveAgainCollege)において、2015年度から2018年度の4年間で4回、「介護職員初任者研修講座」を開講した。この講座は高齢者がセカンドライフづくりとして介護系の資格を取得することを目的としている。また、同時に本学学生が将来介護に関する職業に就くための支援として資格を取得できるように計画されている。そして、CAAC受講生21名、学生29名がこの講座の課程を修了した。この講座を通して、高齢者と学生が一緒に学ぶ「共育」の場が得られたので報告する。キーワード介護職員初任者研修、高齢者、大学生、共育*1生命健康科学部スポーツ保健医療学科准教授*2工学部都市建設工学科教授/COC推進センターセンター長*3生命健康科学部理学療法学科教授*4生命健康科学部理学療法学科准教授

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