中部大学教育研究19
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記載した学生数について、記述的に分析した。この記載内容の理解の分析については、研究者間で複数回の検討を繰り返し、妥当性の確保に努めた。4.5倫理的配慮対象の学生には、単位認定が終了した半年後の時期に研究の趣旨・目的を文書と口頭で説明し、同意の有無や解答内容は成績や今後の学習に一切影響しないことや、解答用紙の記名部分は切除し、匿名化したものをデータ化する等の倫理的配慮の上で実施した。研究の全ての過程は、所属大学の研究倫理審査委員会の承認(20190017)を得た上で行った。5結果該当科目を履修した学生108名のうち、105名の同意が得られ、全てを分析対象とした(回収率96.2%)。以下に看護診断・目標設定・看護計画立案について概要を述べる。なお、「」内に具体的な解答内容および()に理解の程度についての評価を示す。5.1看護診断表1に、学生が記載した看護診断のPES方式の一部について示した。看護診断では、診断の定義と患者の状態が合致している「嚥下障害(A)」は60名(57.1%)、診断の定義が患者の状態と異なる診断「誤嚥リスク状態(B)」は9名(8.6%)、医学診断名である「(多発性)脳梗塞(C)」の記載は24名(22.9%)であった。問題の原因・要因では、「舌の右偏位(A)」、「口角の下垂(A)」が各55名(52.4%)、「脳梗塞による右片麻痺(B)」が51名(48.6%)、医学診断名である「(多発性)脳梗塞(C)」が15名(14.3%)であった。症状・徴候では、「食事時の咳込み(A)」80名(76.2%)、「口腔内の食物の貯留(A)」63名(60.0%)であり、問題の要因にあたる「舌の偏位(B)」33名(31.4%)や「口角下垂(B)」31名(29.5%)を挙げている学生もいた。5.2目標設定表2に、記載された長期目標および短期目標について示した。長期目標については「嚥下障害が改善(A)」25名(23.8%)であった。「誤嚥を起こさない・誤嚥しないで食事をすることができる(B)」は39名(37.2%)であり、「一般食が食べられる(C)」など表中にないものも含め、C評価された学生は18名(16.6%)であった。短期目標について「食事中の咳込みが減る(A)」が64名(61.0%)、「貯留する食物が減る(B)」32名(30.5%)であった。「左側で食べ物を咀嚼できるようにする(C)」などC評価されたものは8名(7.7%)であった。5.3看護計画の立案について表3に立案された計画について示す。計画の記載については、観察計画、ケア計画、教育指導計画のほとんどがA評価であった。観察計画では「咳やむせこみ」39名(37.1%)、「口看護過程における看護学生のPES方式による思考過程の特徴―35―表1看護診断のPES方式での整理に関する主な解答内容

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