中部大学教育研究19
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記録用紙に記載することで、一連の看護過程のプロセスをたどり、その内容について毎回授業時間でその学習内容について教員の指導を受けながら理解を深めている。この科目で学んだ後に、初めて実際の受け持ち患者を担当する臨地実習を経験することになる。学内で学んだ看護過程と看護実践との関連性をすぐには把握できないため、学生にとって理解が困難な場合もあり、学生の思考過程の特徴や理解の程度をとらえながら教授することが重要であると考えている。今回、この科目終了時の期末試験(全5問)の中の1問にて、模擬的な患者情報をいくつか示し、問題の原因・要因、およびその問題による症状・徴候を明らかにし、PES方式(Problem:看護診断、Etiology:原因・要因、Symptoms&Signs:症状・徴候)で整理して、問題解決に向けての目標設定・計画立案することを課した。この問題の解答を概観すると、学生が十分な理解をしている部分や、理解が難しい部分などが散見された。学生の思考過程の特徴や、学生の理解が不十分である部分や学生が捉え違いをしやすいところを分析し、指導上の課題について明らかにすることにより、看護過程の教育に関する基礎的な資料となりうると考えられる。2研究目的本研究は、中部大学において看護過程演習を履修した学生を対象に、学生の思考過程を明らかにし、看護過程の教育を検討することを目的とした。3本研究で用いる用語についてPES方式:看護師が用いる問題解決手法であり、看護診断(Problem)について、問題が起こっている原因・要因(Etiology)、問題により生じている症状・徴候(Symptoms&Signs)について整理する方式である。看護診断について、その要因を明らかにし、改善する介入計画を考え、症状・徴候を観察し、看護実践を評価できるように、論理的な考え方により問題解決を目指す手法である。4研究方法4.1研究デザイン記述的研究デザインである。4.2研究対象研究対象は、中部大学において2018年度に看護過程演習(2年次秋学期2単位)を履修した2年次の学生108名である。4.3データ収集データ収集は、2019年2月に実施した。分析対象は以下に示す、該当科目の期末試験の全5問中の1問の解答である。記録用紙には教員の指導内容やグループ間で思考した内容についても反映されるために、学習到達度の評価をすることは難しい。そのため、学生の思考過程を反映すると考えられる、期末試験での解答内容を分析対象とした。分析対象になった設問では、PES方式(Problem:看護診断・Etiology:原因・要因・SymptomsandSigns:症状・徴候)で看護診断を記載し、目標設定、計画立案を課した。この設問のねらいは、授業で行ってきた論理的に思考することができているかを評価することにある。脳梗塞を患う患者の情報を提示した理由は、授業内でも脳梗塞を患う患者の看護過程のプロセスを学んでいるため、病態について一定の理解ができていると考えられたためである。履修した学生に同意を得て、期末試験の解答用紙をコピーし、記名部分を切除しデータ化した。4.4データ分析各解答について、A:概ねの思考過程は理解できているもの、B:思考過程は理解できているが、詳細については指導が必要なもの、C:思考過程の理解が不十分であるもの、の3段階で評価をして、記載内容や中部大学教育研究No.19(2019)―34―⇒

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