中部大学教育研究19
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において、教職インターンシップの実施の意義と参加学生に良い変化がみられることが示されていた。今後は、具体的な目標に対する達成度や成果を検証していかなければならない。教職課程コアカリキュラムにおける「教育実習(学校体験活動)」の目標では、教育実習の一部として学校体験活動を含む場合には、学校体験活動において、「観察及び参加ならびに教育実習校の理解に関する事項」「学習指導及び学級経営に関する事項」のうち次の目標が達成されるよう留意する旨が記載されている3)。「観察及び参加ならびに教育実習校の理解に関する事項」については、一般目標として「幼児、児童および生徒や学習環境等に対して適切な観察を行うとともに、学校実務に対する補助的な役割を担うことを通して、教育実習校の幼児、児童又は生徒の実態と、これを踏まえた学校経営及び教育活動の特色を理解する」ことが示されており、到達目標として「1)幼児、児童又は生徒との関わりを通して、その実態や課題を把握することができる。2)指導教員等の実施する授業を視点を持って観察し、事実に即して記録することができる。3)教育実習校の学校経営方針及び特色ある教育活動並びにそれらを実施するための組織体制について理解している。4)学級担任や教科担任等の補助的な役割を担うことができる」とされている。また、「学習指導及び学級経営に関する事項」については、一般目標は「大学で学んだ教科や教職に関する専門的な知識・理論・技術等を、各教科や教科外活動の指導場面で実践するための基礎を習得する」であり、到達目標には「3)学級担任の役割と職務を実地に即して理解している。4)教科指導以外の様々な活動の場面で適切に児童又は生徒と関わることができる」と示されている。学生の「インターンシップ活動報告書」には、これらの到達目標に示されている観点にあてはまる記述が多数みられており、特に学生へのインタビューから、上記の目標がほぼ達成できているのではないかと考えられる。今後は、これらの目標をより意識しながら活動していけるよう指導内容、評価方法等を精選していく必要がある。また、調査全体を通して、インターン校担当教諭には、学生に求める内容や水準に関する差や戸惑いがあること、学生には、実習とインターンシップ活動に対する意欲や意識の差があることなども明らかになった。ボランティアでも実習でもない「インターンシップ」という枠における活動について、目的、内容、指導基準などを明確化し、それらを学生・インターン校・大学において相互理解を深めていくことが課題である。今回の結果には、特別支援教職課程において特別支援学校でインターンシップを実施することにおける特有の意義と課題を検討するための重要な視点が多く挙げられていたが、詳細に扱うことができなかった。これらは、小学校における学校体験活動等との比較によってより明確に示されることになると考えられ、今後の課題としたい。謝辞アンケートに回答してくださったインターンシップ校の先生方、インタビューに協力してくれた学生に感謝いたします。引用文献1)文部科学省中央教育審議会(2015).『これからの学校教育を担う教員の資質能力の向上について~学び合い、高め合う教員育成コミュニティの構築に向けて~(答申)』2)平成29年改正免許法施行規則第2条第1項表備考第八号3)教職課程コアカリキュラムの在り方に関する検討会(2017).教職課程コアカリキュラム特別支援学校教員養成における「特別支援学校教職インターンシップ」の実施報告と今後の課題―31―

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