中部大学教育研究19
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教室」「土曜授業の補助」などがあげられている。2019年の教員免許法改正2)では、「学校インターンシップ(学校体験活動)」は、教育実習に含めることができるようになり、小中学校教職課程では2単位まで、特別支援学校教職課程では、1単位が認められることになった。このように、教育実習前に行うインターンシップ活動の必要性、重要性が示され制度化されてきているものの、議論や実施の対象は小中学校等の基礎免許状を中心に行われてきた。特別支援学校教職課程におけるインターンシップ活動については、小中学校での活動とは異なる特有の意義や課題があると考えられるものの、ほとんど検討されてこなかったのが現状である。本学科では、特別支援学校教職課程の課外活動として、特別支援学校で教職インターンシップを行う「特別支援学校教職インターンシップ」を2017年度から行ってきており、今年で3年目を迎える。そこで本稿では、2017年度,2018年度に実施した「特別支援学校教職インターンシップ」活動の概要と参加学生やインターンシップ受け入れ校による意見を報告するとともに、これらをもとに、「特別支援学校教職インターンシップ」の意義や課題を探る。2本学科の「特別支援学校教職インターンシップ」の概要と実施報告2.1本学科教職課程の実習関連科目の概要特別支援学校教諭免許状の取得には、基礎免許状の取得が必須である。本学科では小学校教諭一種免許状を基礎免許状としており、実習関連科目・活動として、2年次に観察実習、3年次に小学校教育実習及び介護等体験が行われる。2年次で行う観察実習とは、事前事後指導を含めて5単位の科目であり、2019年度シラバスによれば、授業の内容は、「小学校をはじめとした初等教育に関連する機関で、児童の観察を行い、児童理解を深めたり、教師が行う仕事や、学校の設備・備品などについての基本的な知識を習得したりする」「この活動では、できる限り多くの児童とふれ合い、小学生に対するかかわり方に関する知識等を体験的に習得する」ことが主旨である。達成目標として「1教師が行う仕事や、学校の設備・備品などについての基本的な知識を習得する」「2小学生に対するかかわり方に関する知識等を体験的に習得する」「3児童の行動を観察するための基本的な技能を習得する」が掲げられている。小学校教育実習は、3年次の春学期に4週間行われ、3年次の秋学期に介護等体験(特別支援学校で2日間、社会福祉施設で7日間)が行われる。以上が小学校教職課程の実習関連科目・活動の流れである。その後、特別支援学校教職履修者は、特別支援学校教育実習を4年次の春学期か秋学期に2週間行う。2.2特別支援学校教職インターンシップ実施の経緯特別支援学校教職履修者とはいえ、正規のカリキュラムでは、特別支援学校教育実習までに特別支援学校という現場を経験できるのは介護等体験の2日間しかなく、実習期間も2週間と短い。また、教員採用試験の願書提出期日の方が教育実習よりも先にあるため、学生は、小学校と特別支援学校のいずれの教員を受験するのかを特別支援学校での教育実習を経験していない状態で決めなくてはならない。希望者には実習前に特別支援学校で何らかの活動ができるよう、個別に学校ボランティアを勧めるなどして対応してきたが、これらの問題を解消するため、特別支援学校教職課程の課外活動として、3年次秋学期に「特別支援学校教職インターンシップ」を実施することとした。2.32017・2018年度「特別支援学校教職インターンシップ」の概要2.3.1インターンシップ実施の流れ「特別支援学校教職インターンシップ」を実施するに当たり、まずは活動先(以下、インターン校)の確保が必要である。そのため、愛知県特別支援学校長会との連携を図り、インターン校に負担をかけないための事務手続き等の検討を行った。以下に、愛知県特別支援学校長会及びインターン校への依頼事項とインターンシップ実施の流れについて記す。1)愛知県特別支援学校長会への依頼6月の愛知県特別支援学校長会に出向き、「特別支援学校教職インターンシップ」実施への協力依頼を行う。その際に、実施の趣旨、内容、活動の流れ及び実施に伴う書類等について説明を行う。中部大学教育研究No.19(2019)―26―表1学校インターンシップの実施イメージ

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