中部大学教育研究19
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1はじめに中央教育審議会(以下、中教審)は、2015年12月「これからの学校教育を担う教員の資質能力の向上について~学び合い、高め合う教員育成コミュニティの構築に向けて~」1)(以下、本答申)において、これからの時代の教員に求められる資質能力や教員の養成・採用・研修に関する課題、改革の具体的な方向性などを示した。本答申において、教員養成に関する改革の具体的な方向性のひとつとして「学校インターンシップの導入」があげられた。ここでは、「学校現場において教育活動や校務、部活動などに関する支援や補助業務など学校における諸活動を体験させるための学校インターンシップや学校ボランティアなどの取組が定着しつつある」という現状が示され、これらの取組は、「学生が長期間にわたり継続的に学校現場等で体験的な活動を行うことで、学校現場をより深く知ることができ、既存の教育実習と相まって、理論と実践の往還による実践的指導力の基礎の育成に有効である」「学生がこれからの教員に求められる資質を理解し、自らの教員としての適格性を把握するための機会としても有意義である」「学生を受け入れる学校側においても学校の様々な活動を支援する地域人材の確保の観点から有益である」と、学生と学校双方において有効であるとの見解が述べられている。一方、「学校インターンシップの実施に当たっては、既存の教育実習との間で役割分担の明確化を図るとともに、その円滑かつ確実な実施に向けて、受け入れ校の確保や実施内容の検討等のための教育委員会や学校と大学との連携体制の構築、大学による学生に対する事前及び事後の指導の適切な実施、学生側と受け入れ校側のニーズやメリットを把握するための情報提供の実施など、環境整備について今後十分に検討することが必要である」との課題も示された。これらの点を踏まえ、学校インターンシップについては、「各大学の判断により教職課程に位置付けられる」ものとされ、「教育実習の一部に学校インターンシップを充ててもよい」「大学独自の科目として設定することも可能とする」などの方向で制度の具体化を引き続き検討すると述べられた。また、教育実習と比較する形で学校インターンシップの実施のイメージが、内容、実施期間、学校の役割について表1のように示され、具体的な活動内容として、「児童、生徒等の話し相手、遊び相手」「授業補助」「学校行事や部活動への参加」「事務作業の補助」「放課後児童クラブ、放課後―25―特別支援学校教員養成における「特別支援学校教職インターンシップ」の実施報告と今後の課題古市真智子*1・伊藤佐奈美*2要旨現代教育学部現代教育学科は、特別支援学校教職課程の課外活動として2017年度から教職インターンシップを開始し、今年で3年目を迎える。本稿では、2017年,2018年度の「特別支援学校教職インターンシップ」活動を報告するとともに、その実施の意義と今後の課題を検討した。参加学生の「インターンシップ活動報告書」の記述からは、【特別支援学校特有の内容・雰囲気をつかむ】【障害のある児童生徒への理解と指導の方法を学ぶ】【特別支援学校の教師の仕事を知る】等の意義が見出された。また、インターンシップ後に教育実習を終えた学生へのインタビュー調査やインターンシップ校へのアンケート調査からは、学生に良い変化がみられることやインターンシップを経験してから教育実習を行うことに意義が感じられていることが確認できた。一方、ボランティアや教育実習とは異なる「インターンシップ」に特有の目的や内容、指導基準などの明確化と、それらに対する学生-インターンシップ校-大学の相互理解が必要といった課題も明らかとなった。キーワード教職インターンシップ、学校インターンシップ、特別支援学校教職課程、特別支援学校教員養成*1現代教育学部現代教育学科准教授*2現代教育学部現代教育学科教授

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