中部大学教育研究19
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当をつけてから引く」ことに慣れていけるよう学習を経験させたい。リーディングの最大の目的は、リーディングを通して発せられているメッセージを受け取ることであるが、教師はどうしても語彙も文法もあれもこれもと欲張ってしまうことがある。1種類のアクティビティを作成したら、そのアクティビティにまずは専念させ、一つのターゲットが成就してから次へ進むことを考えたい。著者の取り組みでは、内容確認の問題や語彙の意味の確認は、「Glexa」で復習できるようにしており、対面授業で曖昧だったことも、後に個別学習で確認・練習できるようにしている。3.5リスニングa.目的:音声情報に対する抵抗感を軽減し、聞いてみようとする意欲を培う。聞いた内容に関心を持つ、聞いた情報を使って次のアクティビティを行う、語彙表現や文法の使われ方に気づく力をつける。モデル音声だけでなく、ピアが発する音声情報も聞いて理解しようとする力をつけ、多様な英語話者が発する音声を受容できるようにする。b.教材例:リスニング、ダイアログ、リーディング、DVD教材(会話またはビデオジャーナル)などc.学習形態:全体、ペアまたはグループd.適用化の代表例:Repurposing、reorderinge.指導例:リスニングアクティビティが容易な場合は、ユニットのウォームアップに用いることもある。何について話をしているのかを聞くことで、そのユニットの学習ターゲットを認識できるようにする試みである。より容易な場合には、オンラインで個別学習を先にさせて反転授業にすることもある。リスニングには必ずディクテーションアクティビティも用意している。耳から聞いた音を判断しスペリングにつなげたり、コンテキストに応じた語彙選択が文法適用をさせたりと複合的なワークであるディクテーションでは、辞書を使ってスペリングを確認させる場合、辞書を使わないで習得している語彙とそうでない語彙とに気づくことができるようにしたりしている。f.指導上の注意点:著者のクラスでは「まだ充分に学んでいないことは、一人ではさせない」を指針としているので、基本的に予習はない。一部の反転授業課題を除いて、復習に重点を置いている。個別に学んだ方が良いもの、個別に学ぶ用意があるものについて、Glexaに課題を用意し復習できるようにしている。特に、学習ペースが大きく異なるディクテーションアクティビティは、個別学習としてオンラインアクティビティにするのに適している。対面授業で行うのであれば、制限時間がある中で聞くアクティビティとし、どのようにして聞けば良いのか、何を意識すると自分にも聞こえるようになるのかを理解させてから、個別オンラインアクティビティへ導くのが良いであろう。Glexaでの課題は受講回数を1回にする確認テスト型にすることもあれば、何度でも繰り返し練習できるようにする場合もあるが、ディクテーション課題は特に回数を無制限で課すことで、個々のペースで聴く力、スペリングする力をつけさせようとしている。3.6スピーキングa.目的:発話への抵抗感を軽減し、発話してみようとする意欲を培う。それまでに学習した語彙表現や文法ルールを、発話の際に応用してみようとする力をつける。b.教材例:テキスト内ダイアログ、外部教材c.学習形態:ペアd.適用化の代表例:Reordering、Repurposing、Supplement、Additione.指導例:①「ContextandPurposeRecognition」(場面・目的理解)第一段階としては、テキスト内にあるダイアログ例の中で、学生にとって臨場感がある内容のものを選び、テキストを閉じてリスニングアクティビティとすることが多い。そうすることにより、まずコンテキストに気づいたり、ダイアログの目的が何なのかを考えさせたり、語彙表現や文法がどのように用いられているかに関心を持たせたりすることができる。②「Half-blindDialog」(ハーフブラインド)小栗が考案したトレーニング方法の一例である。<準備>ダイアログがA・Bの二者間で行われるものを選び、A・Bどちらがダイアログをリードしているか、それぞれのセリフの分量はどうかを観察し練習の対象とするダイアログを選ぶところから始まる。<実践>ダイアログを選定したら、第一に行うのはテキストを見ながら音声も流し、オーバーラッピングさせることである。第二に行うことは、ペアでA・Bをロールプレイさせ、対面で口頭練習させることである。発音、プロソディが整ってきたら、文字から目を離し相手をみて発話する(Readandlook-up)指示を出し、できる限りアイコンタクトを意識させる。棒読みに読み上げるのではなく、相手と話をし中部大学教育研究No.19(2019)―16―

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