中部大学教育研究19
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く練習量を確保するためである。発音練習も並行して行うことからrepurposingが起きることも多い。対面授業では口頭練習を主とし、補強のための復習機会や正解を確認する機会を用意するために、オンラインワークと並行させることがほとんどである。(addition教材例:GrammartoGo,Pearson/FocusonGrammar,Pearson,MoreGrammarPractice,Cengage)e.指導例:文法導入時の説明は、必要に応じて補足説明をオンラインに用意するなども可能なため、対面授業での説明は最小限とし、学習ターゲットとなる文法をペアで口頭練習する時間を最大限に配分している。テキストのアクティビティでは、穴埋め問題や文を変形する問題が代表的であるが、いずれの場合でも、解答をさせその答え合わせをすることは対面授業では行わない。正解確認を含む練習は、際限なくオンラインでできるため、対面授業では「答えを書きこむ」作業よりも難しい、口頭のみでの練習を行なう。テキストが提示しているアクティビティだけでなく、テキストの例文を使って、既習の文法要素をターゲットとした練習を応用的に行うこともある。肯定文を否定文に、肯定文を疑問文に換えるなどといった練習では、例文を見ないのはペアのうち学生Aの役割とし、教師から出ている指示に従って、Aの発話を聞いた学生Bが文を口頭で述べていくという初歩段階に適したアクティビティである。その場合は、単に文法だけでなく、相手の発話に耳を傾けるリスニング、口頭で述べるスピーキング、発音といった練習がアクティビティの中に複合されていることになる。f.指導上の注意点:文法は学生にとって最も心理的バリアがある学習ターゲットであることが多い。ルールに関する知識があっても、話す場合であれ、書く場合であれ、そのルールを当てはめて文を構築することは容易ではない。そうした状況を理解した上で、文法ターゲットではない素材に文法エッセンスを統合したアクティビティを用意することもある。文法のルールを記憶することにのみ当てるのではなく、何らかのアクティビティを重ねているうちにいつの間にか文法ターゲットをよく理解でき、ルールを身につけられるということがあることも目標にしている。しかし、文法嫌いをさらに助長してしまわないよう留意しながら、文法の重要性を教師が語るのではなく、文法が重要だと言うことを学生が徐々に認識できていけるようなアクティビティを用意し、適切な順序で難易度をあげたり、必要に応じて復習を含め、適切に繰り返し強化していったりする必要がある。3.3語彙a.目的:使用頻度が高い語彙を最優先し、コンテキスト(文脈)に合わせて語彙を適切に選んで使えるようにするため、聴いたり読んだりした際に意味を理解したりできる「receptivevocabulary」を優先して習得させる。受容できる語彙から、次第に話したり書いたりする際に用いることができる「productivevocabulary」を次に徐々に増やしていく。授業の受講を終えても、必要に応じて語学を自分で進めていけるよう、辞書をどのように役立てるのかも常に実習する。b.教材例:テキスト全般c.学習形態:全体、ペアd.適用化の代表例:語彙の品詞を確認したり、スペリングを練習したりするアクティビティはオンラインワークとすることが多い。コンテキストに合わせて語彙を選択する、語彙復習のために語彙認知アクティビティをするなどadditionが多く発生する。e.指導例:語彙の意味確認(マッチング問題)や品詞確認(選択問題)といったアクティビティ、意味から語彙をつづる(入力問題)といったアクティビティはオンラインアクティビティに任せ、対面授業ではコンテキストに応じた語彙の使われ方、発音に重点をおいている。使用頻度の高い語彙については、派生語や反意語、外国語としての英語力定着に向けた教材の適用化とインストラクショナルデザイン―13―教材例1WordSearch例(WorldEnglish1Unit8対象)

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