中部大学教育研究19
19/78

2.3教材適用の例実際に教材を最大限に活用しようとした著者の実践例を振り返ってみる。まず、著者は授業計画・実践記録シートをクラウド上のスプレッドシートを活用して作成し、同科目を担当する教師間での情報交換計画・記録の共有をしている。授業記録には、①日時、②教室環境、③教材、④セクション、⑤ページ、⑥アクティビティ内容、⑦アクティビティの目的、⑧アクティビティの学習ターゲット、⑨アクティビティ実践形態(全体・個別・ペア・グループ)、⑩習得を目的とするスキル、⑪教材の適用化有無と適用の種類、⑫使用ツール、⑬配布物の有無、⑭提出物の有無、⑮オンライン課題の有無等、多岐にわたる情報を毎授業残している。この授業記録を元に一部を振り返った結果、次のようなことが明らかになった。2年次の授業「英語コミュニケーション」の4クラスのうちA、BクラスはWorldEnglish(Cengage)Level1を使用している。この2クラスの2019年度春学期第9週から15週までの授業記録を振り返り、どのような教材適用を図ったかを分類してみた。2年次の「英語コミュニケーション」は、小栗とアレンが1クラスを45分ずつ担当し、授業時間の半ばでA、Bクラスの学生が隣り合わせた教室を移動するしくみである。これにより週一回の授業の中でA、Bクラスの学生は、英語母語話者(native-English-speakingteacher:NEST)のアレンと、英語非母語話者(non-native-English-speakingteacher:NNEST)の小栗との両方から、それぞれインプットとアウトプットに焦点を当てた授業を受けることができる体制になっている。2019年度春学期に小栗・アレンが行った授業実践において、教材WorldEnglish1、Unit4の適用化を分析してみた。適用化の目的は図2が示すように、①練習(主に口頭によるもの)22件、②復習・強化19件、③異文化理解8件、④応用、⑤次のアクティビティの用意2件となっていた。どのスキルの習得を目的として教材適用化を行ったかをみると、図3が示すように①語彙22件、②文法18件、③リーディング15件、④リスニング13件、⑤発音12件、⑥辞書活用10件、⑦コミュニケーション、ディクテーション、スペリングはともに6件、⑧クリティカルシンキング3件となっていた。教材適用の種類に焦点を当ててみると、図4が示すように①順序変更33件、②除外32件、③オンライン学習18件、④学習目的変更12件、⑤反転授業6件、⑥発展4件、⑦代替3件、⑧追加2件となっており、教材外国語としての英語力定着に向けた教材の適用化とインストラクショナルデザイン―11―Prepare/learnApplyCultureReviewPractice図2Adaptationsummarybyobjectives(OguriandAllen2019)Critical thinkingSpellingDictationCommunicationDictionary usePronunciation/prosodyListeningReadingGrammarVocabulary図3Adaptationsummarybyskills(OguriandAllen2019)AddNo adaptationSupplement/replaceExpandFlipRepurposeOnline(Glexa)OmitReorder図4Adaptationsummarybytypes(OguriandAllen2019)図1Aframeworkforadaptation(McDounoughet.al,2019:77)

元のページ  ../index.html#19

このブックを見る