中部大学教育研究19
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単位未修得者(E評価)について言えば、春学期は61名(46.6%)、秋学期は77名(49.4%)が規定の出席率を満たしておらず、そのため自動的に不可になったと考えられる。この傾向は再履修者ではより顕著であり、表14に示すように、単位を落とした再履修生の出席率の平均は4割に満たない。規定の出席率を満たさず自動的に不可になったと考えられる受講生の数は、春学期34名(79.1%)、秋学期54名(91.5%)である。授業に魅力を感じず出席率が低くなった可能性は否定できないが、履修登録後1度も出席していない受講生もいる。その数は、通常の履修生では春学期、秋学期それぞれ2名(N=2,363,0.1%)と7名(N=2,309,0.3%)、再履修生では春学期、秋学期それぞれ10名(N=161,6.2%)および19名(N=241,7.9%)である。単位を修得できない受講生の出席率の低さは新制度導入以前からずっと続いている問題であるが、改定版の到達度確認テストおよび語彙テストの実施を始めた2018(平成30)年度も同じ傾向が見られた。この問題については、やはり、オリエンテーションや指導教授制を利用したきめ細かい対応など、抜本的な対策が必要であろう。結語以上、本稿では2018(平成30)年度から実施を開始した改訂版の共通テスト(到達度確認テストおよび語彙テスト)を中心に2018(平成30)年度の全学向け英語教育に関する報告を行った。2017(平成29)年度までの数値と比較しながら検討した結果、共通テストの改定は概ね改良につながっていることが確認された。一方、単位の修得に至らなかった受講生についても検討したところ、これまで同様、出席率が大きな問題であり、抜本的な対策が必要であることが明らかにされた。今後もデータ収集、分析、検討を重ねて、より良い教育体制の構築を目指していきたい。謝辞教育方針の策定、各種テストの実施、その他の運営面でご協力くださった先生方、本報告の内容に関して貴重なコメントを下さった先生方に厚くお礼申し上げます。注1)「英語スキルI/II」は旧カリキュラムの「フレッシュマン英語A/B」に対応している。2)「実力テスト」は、2012(平成24)年度までは「プレースメントテスト」と呼ばれていた。参照文献大門正幸・今村洋美・西村智・野田恵剛・山田伸明(2010)「大学英語教育に関する基本方針について-専門教育機関としての大学における英語教育の在り方を巡って-」『中部大学教育研究』10,23-28.大門正幸・柳朋宏・西村智・野田恵剛・山田伸明(2011)「全学英語教育に関する中間報告」『中部大学教育研究』11,87-94.大門正幸・今村洋美・西村智・野田恵剛・山田伸明・柳朋宏(2012)「平成23年度秋学期の全学英語教育に関する報告」『中部大学教育研究』12,81-89.大門正幸・今村洋美・西村智・野田恵剛・山田伸明・和田珠実(2014)「平成25年度の全学英語教育に関する報告」『中部大学教育研究』14,29-37.大門正幸・今村洋美・西村智・野田恵剛・山田伸明・和田珠実(2015)「平成26年度の全学英語教育に関する報告」『中部大学教育研究』15,65-74.大門正幸・今村洋美・加藤由崇・西村智・野田恵剛・和田珠実(2016)「平成27年度の全学英語教育に関する報告」『中部大学教育研究』16,89-97.大門正幸・今村洋美・加藤由崇・西村智・野田恵剛・和田珠実(2017)「平成28年度の全学英語教育に関する報告」『中部大学教育研究』17,35-44.大門正幸・今村洋美・加藤由崇・西村智・野田恵剛・和田珠実(2018)「2011年度~2017(平成29)年度の全学英語教育に関するまとめ」『中部大学教育研究』18,1-6.和田珠実・大門正幸・今村洋美・西村智・野田恵剛・山田伸明(2013a)「平成24年度の全学英語教育報告」『中部大学教育研究』13,79-85.和田珠実・今村洋美・大門正幸(2013b)「中部大学2018年度の全学英語教育に関する報告―5―表13成績と平均出席率表14成績と平均出席率(再履修生)

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