中部大学教育研究18
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1はじめに2011(平成23)年度の全学共通教育のカリキュラム改定以来、全学英語教育科では全学共通教育科目のスキル教育科目として「英語スキルⅠ/Ⅱ」1)を実施し、当科目の基本方針や実施方法、授業内に実施した到達度確認テストの結果等について本ジャーナルや国内外の学会で報告してきた(大門他,2010;2011;2012;2014;2015;2016、和田他,2013、Wadaetal.,2014)。2017(平成29)年度には到達度確認テストの内容を改定し、2018(平成30)年度からは新しいテストに移行することになったので、これを機に、これまでの総括を行っておきたい。なお、全学共通教育部は2018(平成30)年度より人間力創成総合教育センターに、全学英語教育科は語学教育プログラムという新組織になって新たな教育改革に向けて始動しているので、本報告はその議論に関するデータ提供の意味も持つ。2フレッシュマンテスト・到達度確認テスト・実力テスト入学時に行われるフレッシュマンテストの成績によって、受講生は上級、中級、初級の3つのレベルに分けられる。教科書および教材は全学英語教育科の教育方針に沿ったものであるが、2011(平成23)年度と2012(平成24)年度には既存の教科書を、2013(平成25)年度からは独自に作成した教科書を使用している。春学期と秋学期の最後に、授業内容の定着を確認するための到達度確認テストを実施している。その内容は、()英語を日本語にする語彙問題、()日本語を英語にする語彙問題、()文法に関する問題、()読解方略に関する問題である。ただし、上級の受講生については、より高度な語彙問題を追加し、実力に応じた学習が行えるように配慮している。また、秋学期には授業内容とは独立した実力テストを実施し、フレッシュマンテストの成績と比較することで、英語力の変化の確認を行っている。以下、3節では、到達度確認テストの結果について、4節では、フレッシュマンテストと実力テストの結果について報告する。5節では、単位の取得に至らなかった受講生について、過去の報告同様に、出席率の低さが最大の要因であることを報告する。3到達度確認テストの結果新制度に移行してから最初の2年間は既存の教科書を使用しており、その時期に実施された到達度確認テストの内容は、独自の教科書を使用し始めた2013(平成25)年度以降とは異なるため、以下では2013(平成25)年度以降の数値のみを挙げることにする。3.1春学期まず、2017(平成29)年度のそれぞれのレベル毎の結果を表1から表3に示す。なお、分析に用いたのは、SPSSStatistics24(MacOSX版)である。―1―2011年度~2017年度の全学英語教育に関するまとめ大門正幸*1・今村洋美*1・加藤由崇*2・西村智*1・野田恵剛*1・和田珠実*3要旨2011(平成23)年度の全学共通教育の大幅なカリキュラム改定の際に、全学英語教育科(現、人間力創成総合教育センター語学教育プログラム)では新たな基本方針を策定し、それにしたがった教育を実施してきた。また、それ以降、教育の内容・成果・課題について、本誌や国内外の学会で報告を行ってきた。2017(平成29)年度にはそれまで行ってきた共通テスト(到達度確認テスト)の内容を改定し、2018(平成30)年度からは新テストに移行することになったので、これを機に、これまでの教育内容の総括を行っておきたい。キーワード英語教育、到達度確認テスト、フレッシュマンテスト、実力テスト*1人間力創成総合教育センター語学教育プログラム(英語Ⅰ)教授*2人間力創成総合教育センター語学教育プログラム(英語Ⅰ)講師*3人間力創成総合教育センター語学教育プログラム(英語Ⅰ)准教授

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