中部大学教育研究18
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中部大学ルームには、日本人形や食器類がキャビネットに飾られていた。そのキャビネットに、偶然“PrettyAmbassadorsfromOhioUniversity:After12years”「オハイオ大学からの親善リス物語-12年後の消息を尋ねて-」とタイトルがつけられたDVD(写真4)を見つけたのだが、運悪く、ガラス戸には鍵がかかっており、すぐに観ることはできなかった。写真4PrettyAmbassadorsfromOhioUniversity写真3の机の引き出しや中部大学ルームの至るところを探したが、どこにも鍵は見当たらなかった。鍵の管理をされている人にも、以前管理をされていた人にもお聞きしたのだが、鍵の所在は分からず、残念ながら、この「開かずのキャビネット」を開けることはできなかった。今回の滞在中にDVDを観ることはできないだろうと、完全に諦めかけていたが、帰国数日前に連絡があり、ようやくDVDを観ることができた。DVDには、10数年前、オハイオ大学から小牧市に寄贈された「リス」のことが収録されていた。このリスはオハイオ大学のキャンパスで捕獲されたトウブハイイロリス(easterngraysquirrel)である。リスの寄贈については聞いたことがあった。リスは中部大学の春日井キャンパスに放されたと思い込んでいたが、実際は、小牧市にある「四季の森」の動物園で飼育されていた。ただ、このDVDが制作された頃には、すでに最後の1匹になっていた。その後、このリスの子供たちがどうなったかは分からないが、いつか、「四季の森」に行って、確認したいと思う。このDVDへの資料提供・取材協力は小牧市役所・企画課広報公聴係が担当し、制作には、本学の国際交流センター(現国際センター)とメディア教育センターが協力していた。制作は2003年9月である。5LinguisticsColloquiumお世話になっていた言語学研究科では、教員と大学院生向けに「言語学コロキアム」が開催されている。今回の滞在では、この「言語学コロキアム」で発表する機会をいただいた。古い時代の英語や英語の歴史が専門分野であるが、現代の英語に関連づけることができればと考え、“AViewfromthePastandItsConnectiontothePresent:AShortIntroductiontotheHistoryofEnglish”というタイトルで発表を行った。ここでは、その発表の一部を示しておきたい。オハイオ大学のキャンパスの入り口で、アップタウンにつながるゲートは、AlmuniGateとよばれ、1815年の最初の卒業生を讃える目的で建造されたものである(写真5)。写真5AlmuniGate(アップタウン側)このゲートには次の1文が刻まれており、入学者を迎えている。(実際には全て大文字で句読点は含まれていないが、読みやすくするため、変更した。)Soenterthatdailythoumayestgrowinknowledge,wisdomandlove.さて、この文には日常的にはあまり見られない語が含まれている。thoumayestである。英語は、日本語に比べれば、「数」にうるさく、単数形と複数形を明確に区別し、数えられる名詞と数えられない名詞の区別もする言語である。しかし、二人称代名詞については、どういうわけか、聞き手が1人であっても、2人以上であっても、同じyouという語を用いている。しかしながら、古い時代では、単数形のthou(・u)と複数形のyou(ye)を区別していた(ここでは、話を簡略化している)。しかし、16世紀頃には聞き手が1人の場合、「親称」のthouと「敬称」のyouとが使い分けられるようになる。その後、聞き手が1人の場合にもyouが優先的に用いられるようになり、現在のように、聞き手の人数に関係なく、同じ代名詞you―66―中部大学教育研究No.18(2018)

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