中部大学教育研究18
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り図の作成、⑦本図解の作成、⑧シンボルモデル図の作成、⑨叙述化の9つのステップから構成される。得られた素材を1つの内容ごとに切り分け単位化する①ラベルづくりから始まり、⑨叙述化では質的統合法により明らかになった事実を1本のストーリーにする3)。これら一連の分析は、母性看護学を専門とする研究者4名で行い、4名の意見が一致するまで繰り返し行った。4.4倫理的配慮データ収集は、母性看護学臨地実習が終了し、評価が確定した後に実施した。研究への参加協力の有無および途中辞退の有無が学業成績や単位取得に影響しないこと、教員と学生の関係性に影響しないことを口頭および書面で説明し、書面にて同意を得た。対象母児の安全確保には充分留意し、会場設営及び駐車場誘導などを行ったが、万が一の事故に備えて参加者と学生はレクリエーション保険に加入した。また、写真の掲載に関しては、セミナーおよび報告会の参加者に同意を得ている。なお、本研究は本学倫理審査委員会の承認を受けて実施した(承認番号250021)。5結果5.1グループインタビューの実施状況グループインタビューは3回に分けて実施し、1回につき3名または4名を対象とした。インタビュー時間の平均は28.7分であった。5.2学生の学びと気づきの叙述化3回分のインタビューの逐語録から学生の学びと気づきについて述べられている分節を抽出したところ、得られたラベル数は90枚であった。これらのラベルのグループ編成(ラベル広げ→ラベル集め→表札づくり)を3回繰り返し、【母親の心理の想起】、【母児観察の視点の変化】、【交流の場としての子育てセミナーの意義】、【学習の場としての子育てセミナーの意義】、【母親の成長への気づき】、【母子の関係性への気づき】の6個の表札が抽出された。次いで、6個の表札がついたラベルの関係性を探り、その構造を視覚化して見取り図を作成し(図1)、叙述化した。叙述化の内容を以下に示す。学生は【母親の心理の想起】つまり、実習中に出会った産褥早期の母親の不安や戸惑いなどを想起していた。同時に、【母児観察の視点の変化】つまり、実習時は母児の身体面の観察に着目していたが、セミナー時は児の発達段階も観察するという着眼点の変化がみられた。この【母親の心理の想起】と【母児観察の視点の変化】の両面を基盤とし、【交流の場としての子育てセミナーの意義】として、セミナーが母親の外出のきっかけとなり気分転換にもなるという気づきを得ていた。また、【学習の場としての子育てセミナーの意義】として、セミナーが子育ての悩みや情報交換の場になっているという気づきを得ていた。そして、両者の相互作用により、ますます【母親の成長への気づき】つまり、母親の育児技術の向上と精神面の成長を感じ、ま―55―大学で開催する子育てセミナースタッフとしての経験が看護学生に及ぼす教育効果図1学生の学びと気づきの見取り図

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