中部大学教育研究18
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あり)、シャドーイング、語順整序(意味・音声あり)、例文発音評定(日本語スクリプトあり)音声面での強化を学習ベースとしていることがこの教材の最大の特徴であるが、コンテキストに応じた語彙選択や文法の使い方も、発音する例文や語順整序の中に組み込まれている。またリーディング力の育成は、単語や例文を読むことから積み重ねられると考えられている。各コースの難易度は、中学から大学までのレベル別となっており、中学校1~3年生の復習(入門A・B、初級A・B)から高校1~3年生の復習(初級C・D、中級A・B)、大学初級から大学上級(中級者C・D、上級A・B)をすることができる。学習に要する時間数の目安は、入門コースで12時間程度、中級・上級コースで50時間程度とされている。15週の授業週で学習目標を立てた場合、1日1時間トレーニングすれば1コースの修了することができ、英語力を向上させようとするのであれば、最低限のトレーニングが叶うと言える。学習管理はATRCALLBRIX専用のLMS(学習管理はシステム)が行い、学生自身、教師、さらには教師がグループとなって学生のLMSを参照することもできる。LMSには、学習の軌跡、目標達成率、実施率、学習時間、スコア等がグラフや数値で表示される。ATRCALLBRIXはシステムが学生の発音を自動採点するので、学生がそれを目安として発音トレーニングを自主的に行うこともできるし、教師の指導を受けながらトレーニング方法を身につけて、自主学習に活かしていくこともできる。4.3.2授業におけるATRCALLBRIX活用方法本カリキュラムでは、英語音声に対する受容力を高めるため、また簡潔な英語表現の中で実際に使われている語彙表現や文法の使われ方に気づくことができるようATRCALLBRIXを活用している。実際には、1年次の英語授業の初回からトレーニング方法が示され指導が開始されるが、その内容には次のことが含まれる。①伝わりやすい発声と発音②日本語にない音韻の発音方法③カタカナ読みと英語の発音④単語のアクセントの役割⑤文に表情をつけるプロソディ(ハイライト・スピード・音長・ポーズ・区切り・リズム・抑揚など上記のことは、説明を知識にして終わってしまうことが無いよう、常に実習を主として指導を行なっている。単語単位で発音ができるようになっても、文になった途端に発音への意識が消滅したり減少したりすることは少なくない。ATRCALLBRIXには例文発音のレッスンが豊富にあるため、学んだ語彙を使って例文を聞く、発音する、語順整序するというサイクルで学習をすることができる。ATRCALLBRIXで実現できるトレーニングには、次のことが含まれる。①モデル音声を大量に脳内に埋め込み英語の音がどのように構成されているかに慣れる。②例文の英語表示を出しモデル音声を聞きながらオーバーラッピングし発音やプロソディに慣れる。③例文の英語表示を消し、モデル音声を聞いた直後にリピーティングする。④例文のコンテキストを理解し、語彙や文法の使われ方を学ぶ。⑤例文の語順整序を通し、日本語の語順と英語の語順の違いに気づく。図3、図4は、授業で導入時に使用しているスライドの一部である。図3は例文発音のレッスンをする際の注意で、英語力の向上に結びつくトレーニング方法の一例である。図4は語順整序のレッスンをする際の効果的なトレーニング方法の一例である。自主トレーニング課題であるBRIXを1コース「終了」しようとするのではなく、同じ時間を費やすのであればトレーニングの質を重視して「修了」することを目標とすることができるよう、授業時間の一部を使い個別指導全―46―中部大学教育研究No.18(2018)図3ATRCALLBRIX初級Aレッスン例(例文発音)図4ATRCALLBRIX初級Aレッスン例(語順整序)

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